夏の暑い日に、黒や紺のTシャツを着て1日中動いたとき、そのTシャツの背中や脇が白くなっていたことはありませんか?
そのTシャツに浮き出た白いものの正体は汗ではなく、塩です。
なぜ、洋服にこの塩のシミができてしまうのでしょう。
その原因と取り方、そして塩シミ対策についてのお話をしていきます。
汗から塩!?その原因は何?①
黒や紺などの濃い色のTシャツを着て動いた後に、汗をかいた部分が白くなってしまった方もいるでしょう。
その原因は、汗から浮き出た「塩」だったのです。
それではなぜ、汗から塩が浮いてくるのでしょうか?
汗から塩が浮き出る原因として考えられるのは、2つ挙げられます。
1つは「悪い汗が出てしまった場合」、もう1つは「発汗のスピードが速くなった場合」です。
はじめに、「悪い汗が出てしまった場合」についてみていきます。
汗から塩が浮いてしまうのは、汗の質が関わってきます。
汗腺が正常に機能している場合は、もちろん良い汗を出しているでしょう。
その良い汗というのは、体温を下げるために必要な水分を多く含んでいる汗のことをいいます。
汗に含まれる塩分などのミネラル分は汗腺で再吸収されていき、また体内に戻っていくのです。
ですから、良い汗には塩分などはあまり含まれていないので、体外に出されてもサラサラとしています。
しかし、汗腺の機能が衰えてしまった場合、汗腺からは悪い汗が出てきます。
汗腺が衰えていると、体に必要なミネラル分が体内に再吸収されず、水分と一緒に体の外へ汗として出されてしまうのです。
この汗には、塩分などのミネラル分が多く含まれていてベトベトとしているため、悪い汗といわれています。
その悪い汗が洋服につくと次第に塩になってしまい、白いシミとして洋服に浮き出てしまうのです。
このとき、正しい取り方をきちんと行わないと、塩シミとしてずっと残ってしまうことがありますので気をつけなくてはいけません。
汗から塩!?その原因は何?②
つぎは、「発汗のスピードが速い場合」についてみていきましょう。
運動などで急激に大量の汗をかくと、発汗のスピードも早くなります。
たとえ汗腺が正常で良い汗をかいている方でも、いきなり発汗のスピードが速くなると、汗腺内のミネラル分が体内に再吸収されるのに間に合わないときがあります。
そうなってしまうと、体内に再吸収されるはずのミネラル分が汗として出されてしまい、塩分を含んだ汗になってしまうのです。
これも服についてしまうと、塩となって洋服に白く浮き出ることでしょう。
ちなみに、運動したときの汗は、ほぼ全員が通常のときよりも塩辛い汗になります。
運動しているときの汗の塩分濃度は、一般的に0.3~0.9%の範囲だといわれています。
この濃度の差は個人でも差はありますが、同じ人であってもそのときの体調や気候などでも変化するので、塩シミにならないときもあれば大量の塩シミができることもありますね。
汗から塩が浮き出る原因を知ったところで、次から洋服についた塩シミの取り方についてご説明していきます。
洋服に汗シミができたときの取り方
それでは、こちらで洋服に汗からの塩シミができてしまったときの取り方についてご説明していきます。
できれば、浴槽などで行うのがオススメです。
まずは、浴槽などに水をためて、塩シミのできた洋服を浸します。
水に浸すと、洋服についた塩を溶かすことができるのです。
その後、塩が浮き出ている部分に洗剤をつけ、歯ブラシなどを使って洋服の繊維の向きに沿って汚れをかき出します。
ある程度とれたら、優しく手洗いしていきましょう。
洋服を傷ませたくない方は、極力手で優しく洗うことをオススメします。
また、洋服がコットン素材であれば少し揉み洗いをしても問題はないでしょうが、ウール素材の場合は揉み洗いするとフェルトのようになってしまう危険性があります。
ですから、なるべく丁寧にそっと洗うようにしてくださいね。
洗った後は、しっかりすすぎもします。
脱水は、洗濯機で1~2分程度行い、残りは自然乾燥で乾かしていきましょう。
自分の取り方では取れない場合はプロに委ねよう!
洋服に汗からの塩シミができてしまったときの取り方について、先ほどご紹介しました。
しかし、黒や紺などの濃い色の洋服の場合、ご紹介した取り方を行っても落とせない場合もあります。
また、塩シミを放置することによって洋服が変色してしまうこともあり得ます。
もし自分で洋服の塩シミを落とせなかったり、洋服の色が変わってしまったときは、プロの手に委ねることをオススメします。
なかなかシミが落ちないとき、ついゴシゴシと力強く洗ってしまうかと思います。
そのように洗ってしまうと、洋服自体が傷ついてしまいます。
ですから、自分で優しく手洗いしても落とせなかったときは、クリーニングなどのシミ抜き専門のプロに任せましょう。
お店によって料金も変わりますが、汗シミなどは1着あたり800~1,000円程で対応してもらえます。
万が一、変色してしまうと、色修正などの料金は5,000円など高額になってしまうこともありますので、変色する前に対処するのが良いですね。
取り方と一緒に塩シミ対策も行おう!
汗からの塩シミの取り方についてお話をしてきました。
取り方を覚えるのも大切なことですが、できれば洋服に塩シミができるのを防ぎたいですよね。
ここからは、塩シミ対策として効果が期待できるものをご紹介していきます。
【汗腺を鍛えよう】
汗から塩が浮き出る原因として、悪い汗が出てしまっていることをお話ししましたね。
悪い汗が出てしまう原因は、汗腺が衰えてしまっていること。
ですから、汗腺を鍛えて正常にしてあげることで、塩分などを汗として出さないようにするのです。
汗腺を鍛える方法としてオススメなのは、次のようなものです。
◆半身浴
半身浴は、全身浴よりも効率的に汗腺を鍛えることができるのです。
全身浴の場合、せっかく発汗したとしても気化熱によって汗の体温を低下する効果が出にくくなり、体温は上昇しやすくなってしまいます。
そのため、ムダ汗をかいて終わることもあるのです。
一方、半身浴の場合は、上半身からの発汗が気化熱につながり、体温を低下するためのトレーニングにもつながるので、効率的に汗腺を鍛えることができます。
さらに、入浴後は大量の汗が出てくるでしょうが、エアコンは控えめにし、うちわなどで軽くあおぐ程度にとどめることが大切です。
この汗が体温を下げてくれますので、この過程でも汗腺を鍛えることにつながるのです。
◆適度な運動
運動といっても、活発に動くスポーツや筋トレなどではなく、ゆっくりと行う有酸素運動がオススメです。
激しいスポーツなどをいきなり行っても、汗から塩が浮き出てしまう恐れがあります。
ウォーキングや軽めのエアロビクスなどで、ゆっくり良い汗を出していきましょう。
◆適度な温度調整
今はどこにでもエアコンがありますよね。
実はエアコンも、汗腺を衰えさせてしまう大きな原因の1つなのです。
エアコンで涼しくなった部屋にい続けてしまうと、汗腺が体温調節のために行う発汗作用をしなくなってしまいます。
汗腺が機能しなくなってしまうと、どんどん衰えていき、悪い汗を出すことにつながります。
汗腺を衰えさせないために、エアコンの設定温度は、外の気温のマイナス5度くらいまでを目安にするように心がけましょう。
塩シミ対策!洋服もひと工夫しよう
引き続き、こちらでも塩シミ対策として効果が期待できるものをご紹介していきます。
こちらでは、洋服に汗から塩が浮き出るのを予防したり目立ちにくくするための方法をご紹介します。
ひと工夫するだけで効果が期待できますので、ぜひ試してみてくださいね。
【インナーを着用する】
夏などの暑い日や、汗っかきの方であれば、少しでも涼しくなるように極限まで薄着にしたいかと思います。
しかし、肌に直接トップスがまとわれてしまうと、汗がダイレクトに布地に吸収されるので、塩浮きが目立ってしまうのです。
これを予防するためには、吸湿性に優れたインナーを着ることがオススメです。
インナーがまず汗を吸ってくれますので、トップスに汗が伝わるまでに猶予ができ、こまめにインナーを交換すれば塩浮きを予防することにつながります。
インナーを交換することが難しい場合は、体にフィットするインナーを着て、薄手のタオルなどをはさみ込むと良いでしょう。
【そもそも濃い色の洋服を着ないようにする】
黒や紺などの濃い色は、白い塩シミが目立ちやすいです。
さらに、綿素材の洋服の場合、吸湿性がとても高いため、汗の水分だけでなく塩分までも一緒に生地が吸い取ってしまいます。
そのため、汗をたくさんかくだろうと予測できる日は、白い洋服を着るようにして、塩分を吸い取ってしまっても塩シミを目立ちにくくする工夫が大切です。
【濡れタオルで汗をふく】
汗をかいてしまったら、洋服についた汗が乾く前に濡れタオルでポンポンとたたくようにふき取ります。
これによって、洋服についた汗に含まれる塩分を取り除く効果が期待でき、取り除けなくても塩分濃度を薄めることにつながります。
塩分濃度を薄められたら、塩シミを目立ちにくくすることもできますよ。
塩シミの対策をしても、ついてしまうこともあるでしょう。
しかし、対策次第ではそのシミは自分でも取ることが可能です。
そのときは、ご紹介した取り方で実践してみてくださいね。
汗をかく日は塩シミ対策を!
汗をかいたときに、洋服が白くなってしまうのは汗から浮き出た塩が原因です。
塩シミにならないようにするには、1番は良い汗をかいて塩分などが体内に再吸収されれば良いのですが、そうはならない日もあるでしょう。
そのときは、塩分の濃度をいかに薄くできるかで、塩シミになるかが変わってきます。
ぜひ、汗をかくと分かっている日は、ご紹介した対策で塩シミになるのを予防しましょうね。