「ミョウバン」「重曹」を利用した消臭方法があります。
これらの2つの成分は全く違う性質を持っています。
そのため、成分の意味を理解しておかないと消臭効果が薄れてしまうことがあります。
水溶液の性質を見ると、ミョウバン水は酸性で、重曹水は弱アルカリ性です。
この2つの成分が、本当に消臭効果の発揮できるニオイについてまとめました。
酸性のミョウバン水が消臭効果があるわけ
消臭効果があるといわれている「ミョウバン」と「重曹」ですが、まずはミョウバンから詳しく解説していきましょう。
ミョウバンは元々食品添加物として利用されてきました。
その利用方法は、漬物を色鮮やかにしたり、煮物の煮崩れ防止、さらに麺のかんすいとしても含まれています。
では、なぜミョウバンに消臭効果があるのでしょうか。
それは、ミョウバンを水に溶かすと「酸性」になる点です。
体臭の原因は、肌にいる常在菌が汗が流れると共に皮脂やアカなどと混じり合い、これをエサとする菌が分解することでニオイ物質を発生させるのです。
ニオイを作り出している菌は、アルカリ性の環境にあると繁殖しやすくなりますが、酸性の環境になると繁殖がしにくくなります。
つまり、ミョウバン水を肌につけることで肌表面が酸性になり、ニオイの元となる菌の繁殖を抑えることができるのです。
さらにミョウバンには、消臭効果だけでなく制汗作用もあるといいます。
この作用については詳しいことは分かっていないのですが、肌細胞の収縮を起こし毛穴を引き締めて汗が出にくくなる収れん作用によるものではないか、という一説があります。
つまり、ミョウバン水には菌の繁殖を抑制し、汗が出なくなる制汗作用があるため、ニオイ対策に有効な成分であることが分かります。
弱アルカリ性の重曹水に消臭効果があるわけ
ミョウバン水に続いて、重曹水の消臭効果について見ていきましょう。
先ほど解説したミョウバン水は酸性であることが分かりましたが、ここでご紹介する重曹水は弱アルカリ性です。
そのため、酸性のニオイを中和させる作用があります。
酸性のニオイというと、汗のすっぱいニオイや足のニオイ、酸化した油のニオイがあります。
特に足のニオイに関しては、非常に高い消臭効果があります。
足は他の部位と比べると、ニオイがきつくなる傾向にありますが、これは足の発汗量が多いことと、イソ吉草酸という脂肪酸が関係しています。
また、このイソ吉草酸は洗ってもニオイが落ちにくい傾向にあり、特に爪の間には溜まりやすくなっています。
重曹にはミョウバンのように殺菌作用はありませんが、角質軟化作用があります。
これは、肌に溜まった余分な角質や皮脂を柔らかくして取り除くやすくする作用です。
先ほどお伝えしたように、ニオイの発生源となるのは、皮脂やアカを菌が分解することで起こるものですから、このニオイ物質を取り除いてくれるのは足のニオイを防止することに繋がります。
ミョウバン水と重曹水それぞれ得意とするニオイ
ミョウバンと重曹は、成分が全く異なる別の物質です。
ここまでお話してきた通り、ミョウバンはアルカリ性のニオイに効果を発揮し、重曹は酸性のニオイに効果を発揮します。
酸性のニオイは先ほどもお伝えしましたが、汗のすっぱいニオイや、足のニオイです。
一方アルカリ性のニオイというと、アンモニア臭やタバコの副流煙などがあります。
ただ、ここまでの説明を見ると、ミョウバン水は酸性であるため汗のすっぱいニオイや足のニオイには効果がないと思われるかもしれません。
しかし、ミョウバンには殺菌作用がありますので、ニオイそのものを中和して消臭というよりも、ニオイの元となる雑菌の繁殖を抑えてニオイを抑える効果は期待ができます。
また、足のニオイはイソ吉草酸や汗臭いすっぱいニオイの他、アンモニア臭が含まれています。
このアンモニア臭はアルカリ性のニオイであるため、酸性のミョウバンがニオイを中和する作用があります。
もし、重曹でニオイが落ちきらないというときは、ミョウバンを試してみるとよいかもしれません。
それぞれの効果が、それぞれのニオイを改善してくれるでしょう。
酸性のミョウバン水と弱アルカリ性の重曹水を混ぜ合わせるとどうなる?
どちらにも消臭効果があることが分かりましたが、酸性のミョウバン水と弱アルカリ性の重曹、一緒に混ぜ合わせるとさらに高い消臭効果を得ることができるのでしょうか。
結論からいいますと、効果がなくなってしまいます。
前にお伝えしましたが、それぞれのニオイは、性質の異なる物質が中和作用を起こすことによって消臭効果を発揮します。
つまり、酸性と弱アルカリ性を混ぜ合わせると、中和作用が働き効果が薄れてしまうのです。
また、化学反応を起こす可能性がある物質を、安易に混ぜ合わせて使用することは危険な行為でもあり、おすすめできません。
2つの物質を混ぜ合わせても、効果があるばかりかなくなってしまいますので、必ず別々に使用するようにしましょう。
酸性のミョウバン水を使って消臭しよう
では、それぞれに発揮する効果が分かったところで、使い方や作り方についてご紹介していきます。
まずは、ミョウバン水の作り方についてです。
ミョウバン水の作り方は水に溶かすだけですので、非常に簡単です。
容量としては、水道水1.5リットルに対し、50グラムのミョウバンが基本となります。
ミョウバンと水を混ぜ合わせたら、1~3日冷暗所で保管しましょう。
というのも、ミョウバンは水にすぐ溶けない性質があります。
完全に溶け切ったら、冷蔵庫で1ヶ月ほど保管が可能です。
また、できあがったミョウバン水は原液となりますので、使用する際は10倍ほどに薄めて使用します。
その際、スプレー容器などに詰め替えると、使いたいときに使えるので便利ですよ。
ミョウバン水を使う際、何度もお話しているように酸性であるため、アルカリ性のニオイ対策に効果があります。
そのため、トイレの消臭、ペットのおしっこの消臭、タバコのニオイ消しとして活躍させてみましょう。
また、殺菌効果や制汗作用があるので、脇や足につけても消臭効果が期待できます。
弱アルカリ性の重曹を使って消臭しよう
では続いて、弱アルカリ性である重曹水の使い方や作り方についてご紹介していきます。
弱アルカリ性である重曹は、酸性のニオイである、汗のすっぱいニオイ、頭皮のニオイなどに効果的です。
また、重曹には油汚れを落とす効果もあるので、油のニオイが気になる換気扇やオーブンレンジ、魚焼き機などのお掃除も兼ねて利用するのもおすすめです。
作り方は、ミョウバン水と同様に水に溶かすだけですので、非常に簡単です。
容量としては、水100ミリリットルに対し、重曹小さじ1杯です。
また、ミョウバンと違ってすぐに水に溶けるので、その都度数日で使い切る量を作るようにしましょう。
最後に、お伝えしておきたいことがあります。
ここまでご説明した通り、ミョウバンと重曹には、それぞれ体臭の消臭として効果はあり、どちらを使っても消臭効果は期待できます。
しかし、実は最もおすすめな方法があります。
それは、ミョウバンと重曹両方を使うというものです。
まずは気になるニオイを重曹水で消臭、仕上げにミョウバン水を吹きかけ殺菌するというものです。
この方法は、スプレー容器などに詰め替えれば、外出先や旅行先でも使用することができるのでおすすめです。
ミョウバンも重曹もそれぞれ消臭効果がある
ミョウバンは酸性であり、重曹は弱アルカリ性です。
どちらにも消臭効果はありますが、これらの性質をよく理解しておかないと本来の効果を発揮することができません。
消臭したいニオイの物質がどんなものなのか、理解した上で利用してみましょう。
また、体臭を消臭するには、重曹+ミョウバンが最もおすすめです。
ぜひ試してみてくださいね。