「髪の毛は引っ張ると早く伸びる」という噂を、一度は聞いたことがあるのではないしょうか。
中には、実際に髪を引っ張った経験をお持ちの人もいると思います。
それでは、果たしてこの噂は本当なのでしょうか?
そこで今回は、「髪の毛は引っ張ると早く伸びる」という噂を解明しつつ、ヘアサイクルのお話や、よい髪の毛を育てる方法などをご紹介していきます。
髪の毛を引っ張ると伸びるのは本当!?
「髪の毛を引っ張ると早く伸びる」という噂のは、本当なのでしょうか?
もしもそれが本当であれば「髪の毛を切りすぎてしまった」という場合、とても役に立ちます。
実は、この噂の一部分は当たっています。
その一部分とは、「引っ張ると伸びる」というところです。
健康な髪の毛は弾力が強く、引っ張ると個人差はありますが、1.5倍くらいに伸びるのです。
その理由は、髪の毛の内部はスポンジの様になっていて、髪の毛を引っ張った時に弾力を生んでいます。
そのため、髪の毛を引っ張ると伸びるというのは本当ということになるのです。
ちなみに、髪の毛を染めたりしている場合、内部のスポンジのキメはもっと荒くなり、健康的な髪の毛よりももっと伸びます。
しかし、これだと髪の毛が成長したわけではなく、髪の毛がゴムの様に伸びただけです。
そのため、「早く伸びる」という話とは異なります。
それでは、髪の毛は引っ張ることにより、短時間で成長させることはできるのでしょうか?
髪の毛は引っ張ると伸びるのではなく抜けてしまうかも!?
髪の毛を引っ張ると伸びはしますが、成長が早くなることに対してはどうでしょうか。
実は、髪の毛を引っ張ったからといって、成長が促進されることはありません。
その根拠は、髪の毛が伸びるメカニズムにあるからです。
髪の毛が伸びるには「毛母細胞」という細胞が増殖したり、いくつも分化することで起こります。
毛母細胞とは、髪の毛の根の中にあり、頭皮から栄養を受けて成長する部分です。
この毛母細胞の分化は、髪の毛を引っ張ることでコントロールされるものではないのです。
しかも、髪の毛の伸びるスピードは一定で、0.3mmから0.4mmくらいが平均とされています。
これ以上の速さにするための方法は、内部・外部からのアプローチが必要と考えられ、どちらに関しても解明されていないのが現状です。
そして、「髪の毛を引っ張っていれば早く成長する」という噂を信じ、引っ張り続けていると、男性が恐れている薄毛を招くことにも繋がります。
髪の毛がゴムの様に伸びる!最後は千切れてチリチリに
前項で、髪の毛を引っ張ることで、髪の毛を早く成長させ、短期間で伸ばすことはできないとお話ししました。
それにもかかわらず、「引っ張ることで早く伸びる」という噂を信じ続け、髪の毛を強く引っ張ったり、髪の毛の長さのある男性は、ヘアゴムなどで結んでしまっている人もいるかもしれません。
試しに、髪の毛を1本千切れるまで引き合ってみてください。
引き合って千切れた髪の毛の両端は、チリチリになってしまっていませんか?
これは、髪の毛の組織の結合が壊れてしまうと起こり、この様に引っ張ったり、強い刺激によって変形して痛むのです。
それと一緒に、頭皮にも強い負担を与えてしまい、最悪の場合、頭皮が炎症してしまったり、そこだけ髪の毛が生えなくなることにも繋がりかねません。
しかも、髪の毛は一生生え変わり続けるわけではなく、きちんと終わりがあります。
その理由を、次項でご説明していきましょう。
髪の毛を引っ張るとヘアサイクルが乱れてハゲに?
通常、髪の毛は毎日抜け落ち、また新しい髪の毛が生え変わるヘアサイクルというものを、繰り返しています。
そして、このヘアサイクルは一生続く訳ではなく、きちんと終わりがあります。
ヘアサイクルとは、髪の毛が生えて、成長し、そして抜けるこのサイクルのことで、一生のうちに髪の毛が生え変わる回数は、平均で15回程度といわれています。
そして、しっかりとした、健康的な髪の毛のヘアサイクルは2~6年といわれており、自然と髪の毛が生え変わります。
しかし、髪の毛を引っ張っていると、何本か引く力に耐えられなくなり、抜け落ちるとヘアサイクルが乱れてしまいます。
抜け落ちた髪の毛以外にも、引っ張られたことで頭皮の内部が傷つき、髪の毛に栄養がいきわたらなくなることすらあるのです。
さらには「頭皮をトントンと刺激を与えれば髪の毛が生えてくる」と考えている人も多くいます。
ところが、それも間違いで、頭皮が傷つくことで、薄毛を促進してしまう可能性すらあるのです。
そのため、「髪の毛を引っ張ると早く伸びる」や「クシでトントンと頭皮を刺激すると、髪の毛が生える」といった噂を信じない様にしましょう。
それよりも、髪の毛や頭皮の環境を整えて、健康的な髪の毛が生えてくる様にサポートをすることが大切です。
髪の毛をしっかり育てるために食生活の改善をしよう!
髪の毛を早く伸ばす方法は、まだ解明されていないのが現状です。
しかし、健康的な髪の毛が生えてこられる様に、生活習慣などを見直してみませんか?
そのためにも、一体どの様なことができるかお伝えしていきます。
そもそも、髪の毛は体と同じで、日々の食事で摂る栄養によって作られています。
その中でも、髪の毛が成長するために重要な栄養素が、タンパク質と亜鉛とビタミンB6です。
髪の毛の9割は、ケラチンというタンパク質で作られているため、しっかりとタンパク質を摂る必要があります。
タンパク質が、ケラチンに変化するために必要なのが、ビタミンB6で摂取したタンパク質を分解する役割を果たします。
亜鉛は、分解されたタンパク質をケラチンに変えるサポートをしてくれるのです。
この様に、髪の毛を引っ張るよりも、食生活を見直し、髪の毛が伸びるためのサポートとして食生活の改善をしましょう。
その他にも、髪の毛によいとされる生活習慣をご紹介していきます。
よい髪の毛を育てるためにできるその他のこと
生き生きとした髪の毛が生えてこられる様にするために、他にもできることがあるので、いくつかお伝えしていきます。
【良質な睡眠を取る】
髪の毛が成長するのに、必要なのが「成長ホルモン」です。
成長ホルモンは、髪の毛の組織を構成する時、タンパク質の合成をサポートするとされています。
だからこそ、髪の毛が成長するのには欠かせないものです。
眠りはじめから、3時間程度経過した時の深い睡眠「ノンレム睡眠」の時間に、成長ホルモンは多く放出されます。
そのため、寝る前のテレビや過度な飲酒は避け、アロマなどを活用してみるなど、リラックス状態をつくる様にし、睡眠の質を高めましょう。
【有酸素運動をする】
前項でもお伝えしきましたが、髪の毛は引っ張ることで伸びる訳ではないですし、クシでトントンすると、髪の毛が生えてくる訳でもありません。
頭皮の血行を改善し、髪の毛に栄養をいきわたらせるためには「有酸素運動」が効果的です。
少し息が上がるペースで、ウォーキングやジョギングをしてみるのもよいですし、水泳などもオススメです。
ヨガもまた、体内に酸素をたくさん取り込むのでよいとされています。
この様に、生活習慣を見直して、健康的な髪の毛が、きちんと成長できる様にしていきましょう。
よい髪の毛を育てるために
「髪の毛を引っ張ると早く伸びる」は嘘であり、髪の毛の成長を促進させることには繋がらず、むしろ逆効果だということがわかりました。
よい髪の毛を育てるためにも、正しい知識を持つことがとても大切です。
有酸素運動や食生活を見直して、すくすくとよい髪の毛を成長させていきましょう。