突然起こった眉毛の麻痺!左眉毛の様子がいつもと違う?

男性の中には眉毛の手入れをしている方もいるでしょう。

しかし、ある日突然、手入れをしていても左眉毛が麻痺したり、片方の眉毛が痺れるような感覚になってしまうこともあります。

この記事を見ている方は、眉毛に麻痺のような自覚症状があるのだと思います。

その眉毛の痺れは、もしかしたら顔面神経麻痺の疑いがあるかもしれません。

この記事では、顔面神経麻痺について、症状や原因などを詳しくご説明していきます。

朝起きたら左眉毛が麻痺している!顔面神経麻痺とは

「朝起きたら、片方の眉毛が麻痺して動かない!」

そんなことが、何の前触れもなく起こったらびっくりしてしまいますよね。

皆さんは、「顔面神経麻痺」という病名をご存知でしょうか?

顔面神経麻痺は、ある日突然、顔の片側、もしくは顔の一部が麻痺して動きにくくなる状態を言います。

そもそも顔面神経というのは、泣いたり笑ったり、人の表情を作る「表情筋」を司る重要な神経で、脳から耳の骨(側頭骨)の中を通り、耳下腺で枝分かれして顔全体の筋肉に繋がっています。

表情筋には約20もの種類が存在していますが、この表情筋を顔面神経がコントロールしているのです。

したがって、この神経が何らかの病気によって阻まれたとき、顔面神経麻痺を起こします。

もし、片方の眉毛が痺れたり動かしずらかったりすれば、この顔面神経麻痺の可能性があります。

顔面神経麻痺は、男女ともおおよそ同率で発症し、左右どちらが麻痺しやすいというのも、特別あるわけではありません。

発症年齢は、10代~50代に渡り、60代以降は減少傾向にあります。

また、突発的に起こる顔面神経麻痺は、一般的に「ベル麻痺」が多く、それに次いで「ハント症候群」といった、二つの症状に分けられます。

では、「ベル麻痺」と「ハント症候群」とは、一体どのようなものなのでしょうか?

次項からは、代表的な「ベル麻痺」を中心にご説明していきます。

顔面神経麻痺の「ベル麻痺」と「ハント症候群」とは?

先にも述べたように、顔面神経麻痺には、「ベル麻痺」と「ハント症候群」があります。

「ベル麻痺」とは、頭蓋骨に通った管(顔面神経管)の中で、顔面神経が膨張を起こし、それによって神経が圧迫されることで起こると言われています。

顔面神経麻痺の中で、最も多いのがベル麻痺で、顔面神経麻痺の60~70%を占めています。

現在の研究では、未だに不明な点が多いですが、臨床実験のデーター上、こういった症状の患者に多く共通していることは、過去に「単純ヘルペスウイルス1型」の感染歴があるということです。

この「単純ヘルペスウイルス1型」は、唇の周辺に水脹れを起こす「口唇ヘルペス」や口内炎を起こす「ヘルペス口内炎」などが代表的な症状で、ベル麻痺には、このヘルペスウイルスが関係していると考えられています。

一方で「ハント症候群」とは、顔面神経麻痺の他に、麻痺している側の耳に帯状疱疹が発生したり、難聴、耳鳴り、めまいを伴うものを言います。

また、ハント症候群は、帯状疱疹のウイルスである、「水痘帯状疱疹ウイルス」によって発症するので、ウイルスに対する抗体価を調べることで、確実な診断が可能になります。

上記のように、突発的な顔面神経麻痺の大半が、ベル麻痺であることが分かりましたね。

では、一体なぜ、左右片側の眉毛を動かせなくなるような、ベル麻痺を発症してしまうのでしょうか?

その原因について、ご説明していきます。

動かしにくい左の眉毛!ベル麻痺の原因とは?

顔面神経麻痺の大半を占めるベル麻痺は、研究上から言えば、原因は不明とされています。

しかしながら、先ほど述べたように、ベル麻痺には「単純ヘルペスウイルス1型」が大きく関係していると言われています。

ベル麻痺の原因とされている「単純ヘルペスウイルス1型」は、多くの人がごく自然に感染しており、基本的には、表に出ずに大人しく潜伏しています。

しかし、何らかの刺激が引き金となって、ウイルスが神経細胞内で異常繁殖し、顔面神経が腫れることにより、その結果、突発的な顔面の麻痺が引き起こされます。

最も有力な原因の一つは、ストレスです。

それによって免疫力が下がることでヘルペスウイルスが増殖し、例えば、左右片側の眉毛が動かせなくなるような、顔面神経麻痺に及んでいると言われています。

また、妊娠や歯を抜いたことなどが引き金になり、ベル麻痺が発症するということも少なくありません。

ただし、ベル麻痺を罹患する全体の、約80~90%は1年以内にほぼ回復しています。

しかしながら、残りの十数%にはどこかしらに麻痺が残ったりするので、左右片側の眉毛や口が動かせないなどの症状があった場合は、やはり早めの受診が大事になってきます。

では、ベル麻痺の症状とは、一体どのようなものがあるのでしょうか?

ベル麻痺の症状について、詳しくご紹介していきます。

左の眉毛がうまく動かない!ベル麻痺の症状とは

では早速、ベル麻痺の症状で、代表的な例を見ていきましょう。

【顔面の症状】

いずれも顔面の左右片側の麻痺になります。

・眉毛がうまく動かせない
・まぶたが閉じられない
・額の皺寄せができない
・口元が垂れ下がり、うまくしゃべれない
・よだれが出る
・水や食べ物がうまく食べられない

【聴覚の症状】

・聴覚過敏(音が大きく響いて聞こえる)

【味覚障害】

・金属を口に入れたような味覚がある

以上のように、ベル麻痺には、顔面神経麻痺以外にも様々な部分に影響が出てきます。

顔面神経には、表情筋だけではなく、以下のような神経にも関わってきます。

・味覚伝達の神経
・涙や唾液の分泌を調節する神経
・大音から耳を守るために、鼓膜を緊張させる作用を持つ神経

ベル麻痺の症状は、人それぞれに異なりますが、上記のように、味覚障害、涙や唾液の分泌機能の低下、聴覚過敏などの症状が伴うこともあります。

顔面の症状の場合、鏡を見れば自分でも判断することが可能です。

このような症状がある場合は、できるだけ早めに病院を受診した方が良いでしょう。

では、自分が顔面神経麻痺の疑いがあるかもしれないと思ったとき、何科を受診するべきなのでしょうか?

顔面神経麻痺を疑ったら!何科を受診すべき?

ある朝、自分の顔半分に違和感があり、鏡を見たら左の眉毛や口がうまく動かせない…。

実際、自分が顔面神経麻痺かもしれないと思ったら、何科を受診するべきか悩みますよね。

先にも述べましたが、顔面神経は、脳から耳の骨(側頭骨)の中を通って、耳下腺で枝分かれして顔面に繋がっています。

したがって、受診するのは耳鼻咽喉科がベターだと言えます。

他にも、顔面神経外来などが置かれている神経内科などがあれば、専門性の高い機関で受診するのも良いでしょう。

ただし、病院探しをする上で、念頭に置いておいてほしいことがあります。

顔面神経麻痺の原因の一つに、「脳梗塞」があります。

脳梗塞の発症年齢は、60代以降から増え始め、70~80代でピークを迎えると言われていますが、まれに50代以下で発症する「若年性脳梗塞」というものもあります。

脳梗塞が原因の顔面神経麻痺の場合、脳神経外科や神経内科の受診が一番と言えます、

したがって、顔面神経麻痺を自覚した際、一番に耳鼻咽喉科を受診した方が良いとは、一概には言えないところです。

しかし、例え専門外の病院にかかったとしても、最終的にはそこの医師の適切な判断で、他の病院を紹介してくれるので、安心して病院を受診してくださいね。

では、この顔面神経麻痺が、ベル麻痺であると診断された場合、一体どのような治療を行うのでしょうか。

次項でご説明していきます。

病院でベル麻痺と診断された!その治療法は?

未だに詳しいことが解明されていないベル麻痺を、どのように治療していくのか、皆さん疑問に思うところだと思います。

ベル麻痺の治療法は、それぞれの症状に合わせて投薬治療をしていきます。

・ステロイド薬(炎症を抑える)
・経口副腎皮質ホルモン薬と抗ウイルス薬の併用
・抗ウイルス薬(ヘルペスウイルスに対するもの)
・ビタミンB12薬 など

投薬は一週間かけながら薬を徐々に減らしていき、症状の落ち着きを見ていきます。

一般的には、約2~3週間で症状が落ち着き始め、約2~3か月で8割がたの患者が完治する傾向にあります。

また、病状が重い場合は、耳の後ろの骨中を走る顔面神経を、周りの骨の圧迫から開放する手術(顔面神経減圧術)を行うこともあります。

その後は、顔面神経を回復させるために、リハビリテーションを行っていきます。

しかしながら、その一方で、症状に改善がみられず、最終的にある程度の後遺症が出る可能性もあります。

したがって、左右片側の眉毛や眼、口に違和感や麻痺を感じたら、早めに病院を受診することが重要です。

自己判断せずに、早めの受診を

聞き馴染みのない顔面神経麻痺には、様々な病気が隠されていることが分かりました。

顔面神経麻痺の大半を占めるベル麻痺は、放置すれば後遺症の恐れもあることから、勝手な自己判断で楽観視するのは禁物です。

しかし、例えベル麻痺でなくとも、顔面神経麻痺の背景には、軽視できない病気が眠っている可能性があるので、顔に麻痺のような異変を感じたら、できるだけ早めに病院を受診してくださいね。