年齢を重ねていくうちに、気になり始める口の臭い。
特に、飲酒が多かったり、喫煙をしている男性に多い悩みだと思います。
その口臭のほとんどは、舌の汚れである「舌苔」から引き起こされていることを、皆さんご存知でしょうか?
この記事では、口臭の元である舌苔の原因や対策まで、詳しくご説明していきます。
口の嫌な臭いの原因は舌苔!そもそも舌苔とは?
「舌苔」は「ぜったい」と読み、舌の表面上についている、白色の苔のような付着物のことを指します。
舌苔は、食べカスや細菌、剥がれた粘膜などからできており、これが口臭の原因となる硫黄のような臭いの元、硫化水素を作り出しています。
その理由もあって、舌苔による口臭は歯周病に次ぐ臭いです。
これは、歯の表面上にこびりつく歯垢(プラーク)と同じものでもあり、食べカスや細菌がプラークに変化したものが舌苔になります。
舌の表面には、舌乳頭(ぜつにゅうとう)という細かい突起状のものが存在しており、「味覚を感じる」役割を持っていますが、この舌乳頭の中に、食べカスや細菌、剥がれた粘膜などのプラークが溜まりやすく、舌の細菌が増殖し、彼らの温床になってしまいます。
しかしながら、ある程度の舌苔は誰にでも付いているもので、口内が正常な機能をするためにはなくてはならないものです。
では、なぜ口臭を引き起こすような異常な量の舌苔が、舌についてしまうのでしょうか?
次項で見ていきましょう。
たっぷり溜まった臭い舌苔!その原因とは?
では早速、口臭の元になる舌苔の原因をご説明していきます。
・口内環境が悪い
口腔ケアが十分に行われず、口内環境が悪くなると、歯垢などをエサにした細菌が繁殖し、舌の表面に異常な量の舌苔が付着してしまいます。
・体調不良や睡眠不足などによる免疫力低下
免疫力が低下してしまうと、細菌は活発に動き出し、異常繁殖をする場合があります。
・唾液分泌の減少によるドライマウス
唾液には、口内の自浄作用や、細菌の繁殖を抑制する役割があります。
唾液の分泌が減少すると、いわゆるドライマウスになり、舌苔が溜まりやすくなります。
ドライマウスの原因としては、ストレスや噛む筋肉の衰退、食生活の偏りなど様々です。
・飲酒や喫煙
アルコールとタバコは、ドライマウスになりやすくなります。
・舌をあまり使わない
噛んだり話したりなど、舌を動かすことが少ない方、また、流動食が多い方の口内は、舌苔ができやすい環境になります。
以上が臭い舌苔の原因になりますが、ほとんどが生活習慣の乱れが元になっていることが分かります。
また、舌苔の色や厚みから、口内や体の健康状態を知ることもできます。
次項で詳しくご説明していきます。
舌苔の色や厚さをチェック!そこから見える健康状態
先ほど述べたように、舌苔は誰にでもあるのですが、その色や厚みは体の健康状態によって変わってきます。
・全体的に白く薄い舌苔
健康的な状態で、臭いなどの影響はありません。
・白く分厚い舌苔
唾液量の減少による自浄機能の低下、胃などの消化管が衰えている場合があります。
普段舌を動かさない方に多く見られます。
・黄色い苔
喫煙や飲酒、消化不良、便秘、アレルギー性疾患などによって現れる場合があります。
・黒っぽい苔苔
長期に渡る抗生物質の服用した場合など、舌に毛の生えたような黒い苔が見られることがあります。
その理由として、抗生物質によって口内の細菌バランスが乱れることで、常在する細菌が他の菌種に交代し、それが異常繁殖する「菌交代現象」が起きるからです。
気になる方は医師に相談してみましょう。
・苔が全くない
「無苔」と呼ばれており、呼吸器系の疾患や、慢性的な栄養不足が原因と言われています。
できるだけミネラルや鉄分を摂取すると良いでしょう。
・赤い点々(木苺舌)
更年期障害や自律神経失調症などの場合に見られることがあります。
主に生活でのストレスが原因です。
・舌苔がない部分が点々とある
「地図状舌」と呼ばれており、胃腸が弱っているサインです。
ミネラル・鉄分・たんぱく質などを積極的に摂りましょう。
以上のように、生活習慣が乱れていたり、健康状態が良くないと、舌苔の色や厚さも変化します。
日頃からチェックしていくと、自分の体のコンディションが分かりますね。
では、上記のような臭いの元になる舌苔は、どのように改善すれば良いのでしょうか?
次項で見ていきましょう。
臭いの原因はたっぷりついた舌苔!その予防と改善
それでは、臭いの元である舌苔の予防と改善方法をご説明していきます。
・ドライマウスを防ぐ
口内の乾燥は、舌苔だけではなく、虫歯や歯石、歯周病などの口腔トラブルを引き起こします。
普段から口呼吸の方は、常に鼻呼吸を心がけましょう。
特に、寝ている間は無意識に口呼吸になりがちですが、それを防ぐための方法として、マウスピースを装着して寝る方法もあります。
マウスピースは歯科医院で作ることが可能なので、一度歯科医院に受診してみるのも良いでしょう。
・免疫力のアップ
先で述べましたが、舌苔が増える原因には、免疫力の低下が関係している場合もあります。
免疫力の低下には、睡眠不足やストレスが大きく影響されているので、十分な睡眠をとり、ストレスを発散できる環境を整えましょう。
また、脂分や塩分の多い食事を見直し、栄養の整った食生活をすることが重要です。
・よく噛んで食べる
唾液の分泌量が少なく感じる方は、食事の際に、よく噛んで食べることを意識しましょう。
よく噛むことで、唾液の分泌は自然と促進されます。
口内が唾液で潤っていることで、粘膜が傷つくこともなく、健康的な口腔内を維持することができます。
・舌を動かす
舌をよく動かすことで、異常な舌苔の付着を防ぐことができます。
筋肉は加齢と共に衰えていくので、特に高齢者は、噛む回数や舌を動かすことも減ってきます。
歯科医院などでは、舌苔を予防する、舌の筋肉トレーニング(口の体操)などを指導してくれるところもあるので、それについて聞いてみるのも良いでしょう。
以上が、つき過ぎた舌苔を改善・予防する方法です。
ただ、先にも述べていますが、ある程度の舌苔は誰にでもあるものです。
舌苔があるからといって、過剰に心配しないようにしましょう。
臭い舌苔を落としたい!歯ブラシで舌磨きは大丈夫?
これまで、舌苔の臭いの正体や原因、対策などをご説明してきました。
しかし、前項で紹介した改善策をしている間にも、たっぷりついてしまった舌苔は、口臭の原因にもなりますし、気になることと思います。
そこで気になるのは、つきすぎた舌苔を、歯ブラシで落とすことは大丈夫なのか、ということです。
結論から言えば、歯ブラシで強く磨くことはあまりおすすめはできません。
というのも、舌の表面にある舌乳頭はとても繊細にできているため、歯ブラシなどで舌を強く擦ってしまうと、舌乳頭や粘膜が傷ついてしまい、口内の機能が弱くなってしまいます。
そうなることで、更に細菌が繁殖し、口臭の悪化にもなりかねません。
また、舌苔を取り過ぎるのも良いとは言えません。
舌苔があることで、口内の唾液が保たれ、それによって口臭は抑えられています。
したがって、舌苔をさっぱり取り除いてしまうと、舌の保湿機能が失われてしまい、その結果、更なる口臭が発生してしまいます。
しかしながら、正しい方法での舌磨きであれば、むしろ口腔ケアのためにはおすすめされています。
次項でその方法を見ていきましょう。
舌苔を正しい方法で掃除しよう!
では早速、舌乳頭を傷つけない舌磨きの方法をご紹介していきます。
【道具】
まず、舌苔を掃除するブラシは、専用の舌ブラシが一番良いでしょう。
舌ブラシは、ドラッグストアや歯科医院などで購入することが可能です。
もしなければ、毛先の柔らかい小児用の歯ブラシ、もしくは目の粗いタオルを使いましょう。
【やり方】
①まずは、鏡を見ながら舌を前に突き出し、全体の舌苔の状態を確認します。
②舌ブラシを舌の奥に軽く当て、手前に引いていきます。
このとき、逆方向にブラシを動かしたり、前後にゴシゴシと往復させるのは控えましょう。
舌苔の細菌が、喉の方へ入っていく恐れがあります。
また、嘔吐反射を防ぐために、舌を思いっきり前に突き出して行うか、奥に入れるときに息を数秒止めると良いでしょう。
以上が、舌ブラシの使い方です。
舌磨きは、1日1回を目安に行い、起床時にするのがベターです。
1日に何度も行ってしまうと、舌乳頭や粘膜を傷つけてしまう場合があり、細菌の繁殖、臭いの原因に繋がりかねません。
また、舌磨きの方法は、普段通っている歯科医院でも教えてもらうことができるので、磨き方のアドバイスを受けると尚良いですね。
生活習慣を見直して正常な舌苔に
舌苔は誰にでもあるものですが、生活習慣が乱れたり、体調が良くなかったりすると、舌苔の色や量も変わってくることが分かりました。
ただ、口臭やたっぷりついた舌苔が気になるからといって、歯ブラシで頑固に取り除こうとするのは逆効果です。
日頃から規則正しい生活習慣を心がけていけば、異常な量の舌苔を予防することができるでしょう。