睡眠不足と心臓の違和感にはどんな関係が?原因と改善法とは

みなさんは、睡眠をしっかり取れていますか?

仕事を頑張る多忙な男性など、睡眠不足になりがちで、疲れや体の異常を感じている人が多いようです。

忙しさや疲れを感じている時に、心臓が急にドキドキするなどの違和感を覚えたことはありませんか?

平常時の心臓の違和感は、体が出している危険信号といえます。

こちらでは、「睡眠不足」と「心臓の違和感」の関係性について、またその改善方法などご説明していきます。

日本人に多い「睡眠不足」の実態とは

日本人は睡眠時間が特に短い国民といわれ、5人に1人が睡眠に不安を抱えている状況といわれています。

健康を保つためには1日6~8時間の睡眠が推奨されていますが、仕事で忙しい男性など、睡眠時間を削るため睡眠不足になり、体の不調を訴える人が多くいます。

心臓に違和感を覚える人の共通項としても「睡眠不足」が挙げられます。

厚生労働省の調査でも、1日の平均睡眠時間が、年々減少傾向にあることが分かっています。

では、なぜ現代人は睡眠時間が減っているのでしょう。

睡眠の確保の妨げとなっていることとして、男性では以下のようなことが挙げられています。

・仕事
・健康状態
・就寝前にスマートフォンやゲームに熱中してしまう
・睡眠環境
・通勤通学の時間の関係

このように、現代の日本のライフスタイル全般が、睡眠に影響を与えているといえます。

睡眠不足が慢性化している現代人ですが、この睡眠不足は、人の体にどのような影響をもたらすのでしょう。

睡眠不足がもたらす体への影響とは?

「日本人は寝る間も惜しんで働く」といったイメージが、高度経済成長期から定着し、未だに日本人の中には、睡眠不足を特に大きな問題とは思わない人が多いようです。

しかし、睡眠不足と人体への影響の研究では、重大な健康リスクが発見されています。

●重い病気にかかる恐れがある

睡眠時間の減少により、体にどのような変化が見られるかを調べる実験で、睡眠不足は「病気に関する遺伝子」を活発にすることが分かっています。

●精神の不安定を引き起こす

睡眠不足が続くと、不安や緊張などに関係する脳の扁桃体が活発になり、精神状態が不安定になる傾向が見られます。

●記憶力の低下

人間は寝ている間に、脳の中で記憶の整理を行っています。

睡眠時間が充分取れない状態では、記憶の整理がしっかり行われずに新たな記憶が上書きされ、物覚えが悪くなる原因になります。

●免疫力の低下

人間の体は、寝ている時に免疫細胞が活発に働くため、睡眠不足は体の免疫力を低下させてしまい、ウイルスに感染しやすくなります。

●心臓へ負担がかかる

睡眠不足により体に疲労が蓄積していくと、心臓に負担がかかり、心臓病のリスクが増すといわれています。

このように、睡眠不足が続くと身体へ様々な影響が出ることが分かっています。

では、睡眠不足と急にドキドキする心臓の違和感には、どのような関係があるのか、次で詳しくご説明します。

睡眠不足は心臓の違和感とどんな関係がある?

ドキドキと、予期せずに突然起こる心臓の違和感は、人を不安にさせるものです。

このように、突然心臓の動きが早くなったり、動きが乱れて息苦しさを感じるなどの症状を「動悸」と呼びます。

動悸の主な症状には、次のようなものがあります。

・心臓の動き(拍動)が速くなる

・強く大きな拍動を感じる

・突然、脈拍が乱れる

この動悸の起こる原因は何なのでしょう。

大きく分けて2つあります。

●一時的な動悸

●断続的に続く動悸

「一時的な動悸」には、緊張などの生理現象で起こるものと、飲酒など行動によって誘発されるものがあります。

「断続的に続く動悸」で長期間起こる場合は、原因が病気である可能性が高いとされています。

睡眠不足は上記の「一時的な動悸」を起こす原因となります。

睡眠不足による動悸は、寝つきが悪かったり、熟睡できなかった翌日に起こりやすくなります。

傾向としては

・胸がざわつく感じの動悸

・ドキドキした後すぐに治まるが、繰り返す動悸

・ちょっとした環境の変化で起こる動悸

など、睡眠不足が原因の動悸は、小さな動悸が何度か起こる事が多く、深刻なものは少ないとされています。

ただ、これを放置してしまうと、たびたび起こる動悸によって不安や緊張が増幅され、精神的な疾患の発症に繋がるなど、さらに動悸が悪化することもあります。

睡眠不足を安易に捉えず、重篤な病気に悪化する前に早めの対処が必要です。

睡眠不足によって心臓の違和感「動悸」が起こる原因

睡眠不足によって、心臓の違和感である動悸は、なぜ引き起こされてしまうのでしょう。

睡眠不足による動悸の原因は、「自律神経の乱れ」や「ストレスホルモンの増加」といわれています。

人間には「自律神経」と呼ばれる神経があり、この自律神経は体内の器官の働きを調節し、生命を維持する上で重要な働きを持ちます。

自立神経は、「交感神経」と「副交感神経」の2つの神経系で構成され、それぞれ次のような働きを持ちます。

●交感神経

体の活動や興奮に関わり、主に昼の活動時に働きます。

●副交感神経

体の鎮静やリラックスに関わり、主に夜の睡眠時に働きます。

この2つの神経が、常にシーソーのように体内機能のバランスを取っていますが、睡眠不足はこの働きを乱すことが分かっています。

睡眠不足の場合、自律神経が誤作動を起こし、「交感神経が優位」に働き続けてしまうことがあります。

交感神経が優位に働くと興奮状態となり、心臓の拍動は促進され、血圧も上昇します。

この状態が続くと、心臓の違和感やドキドキなどの動悸を発症しやすくなります。

本来ならばリラックスするような時でもドキドキしたり、ちょっとしたことで動悸が起こってしまうのはこのためです。

睡眠不足は動悸のもう1つの原因でもある、ストレスホルモンの増加にも影響を与えます。

睡眠不足になるとストレスホルモンの「コルチゾール」が増加し、血圧上昇や心拍数を促進させ、自律神経の乱れと同じように、動悸を起こしてしまうのです。

心臓に違和感を感じた時の対処法は?

上記のように、睡眠不足は心臓の違和感である動悸を引き起こしてしまうことが分かりましたが、このような動悸が起こった時、どうすればよいのでしょうか?

一時的に起こる動悸の場合、興奮状態が落ち着けば、自然と治まります。

動悸が起こった時には、まず安静にし、深呼吸しましょう。

気持ちを落ち着かせる正しい深呼吸では、しっかり息を吐く事が大事です。

息を吐ききり、背筋を伸ばして胸を開き、自然と空気を取り込むよう深呼吸しましょう。

また、動悸を鎮めるために大事なことは、リラックスすることです。

リラックスし緊張をほぐすことで、交感神経の働きが副交感神経の働きへ変化します。

安静にして動悸が治まってきたら、マッサージやストレッチで体をほぐしたり、ゆったりと湯船に入るなど、筋肉の緊張を和らげ対処しましょう。

このような対処をしても動悸が治まらない場合や動悸が続く場合には、重篤な疾患が隠れていることもあるので、循環器科など医療機関を受診することをおすすめします。

一時的な動悸の場合は、なるべくこのような動悸が起こらないよう、日頃から予防することも大切です。

睡眠不足の改善の観点から、普段から実践できる動悸の予防法を次にご紹介します。

睡眠不足を改善させ、不快な動悸をなくすには?

一時的な動悸の予防で大切なことは、ストレスをためず、リラックスできる時間をつくることです。

心臓に違和感をもたらす不快な動悸を予防するためには、「良質な睡眠」が必要不可欠です。

こちらでは、睡眠不足を改善させるために効果が期待できる方法を3つご紹介します。

●手浴をする

湯船に浸からず、シャワーで済ませる人におすすめなのが「手浴」です。

洗面器などに40~42℃くらいのお湯をはり、手首の上までしっかり温めます。

15分程度お湯に浸け、湯温が下がる場合には熱めのお湯を足しましょう。

就寝前に行うと、副交感神経が優位に上昇し、リラックス効果をもたらし、身体も温まり、自然な眠気を導きます。

●目の周りを温める

目の疲れからくる眼精疲労と自律神経には、密接な関係があるといわれています。

目の周りの筋肉が緊張していると、脳神経に与える影響も大きく、交感神経も活発に活動してしまいます。

眼精疲労を取り除くため、寝る前に目の周りを蒸しタオルなどで温めましょう。

●4-7-8呼吸法

自律神経が乱れている時、自然と呼吸が浅くなっています。

身体の緊張をほぐし、眠りを誘うといわれているものに「4-7-8呼吸法」があります。

「4カウント吸う」→「7カウント止める」→「8カウント吐く」の1セットを3セット行います。

3セットで約1分です。

続けるうちに、リラックスが深まり、良質な睡眠へと導きます。

寝る時間がなかなか取れない人も、睡眠の質を上げれば睡眠不足は解消できます。

3つの方法を試し、心臓の違和感解消のため、睡眠不足の改善に努めましょう。

心臓の違和感など引き起こさないよう、良質な睡眠を心がけよう!

「ドキドキ!」と突然起こる心臓の違和感は、不快なだけでなく、不安感も大きいものです。

運動などしていないのにも関わらず、心臓に違和感を感じた時には、深呼吸で呼吸を整え、リラックスに努めましょう。

また、「最近よく動悸が・・・」と感じた時には、「睡眠時間」や「睡眠の質」を見直し睡眠不足を解消して、健康的な日常を送れるよう、心がけましょう。