皮脂は皮脂腺から分泌され、私たちの皮膚と毛髪を守る働きがあります。
皮脂は悪臭の元にもなり得るので適度に洗い流すことが重要です。
しかし、洗いすぎるとかえって分泌を促進することになります。
この記事では、皮脂の分泌量の多い頭皮における、オイリー肌予防法と洗髪方法をご紹介しています。
皮脂は頭皮と毛髪のお守り役!
皮脂は、皮膚から出る油脂で、私たちの皮膚や髪の毛を保護する作用があります。
皮脂による保護には、二つの側面があります。
一つは、外界からの刺激をシャットアウトするという役割です。
もう一つは、内部からの水分の蒸発を防ぐという役割です。
皮脂は、「皮脂腺」と呼ばれる皮膚の毛穴の中にある特殊な構造体から分泌されます。
皮脂腺の中には皮脂を作る「皮脂腺細胞」が存在しています。
皮脂腺細胞は、皮脂を産生する細胞で、皮脂を細胞中にため込むまで皮脂を合成し続けます。
そして、「皮脂を分泌しなさい」という命令が下ると、皮脂腺細胞は破裂します。
皮脂腺細胞が破裂することで、細胞の中にたまった油脂が皮脂腺のなかに放出され、そこから皮膚や毛髪に広がります。
皮脂は全身の様々な皮膚で作られるのですが、その分泌量は、特に、頭皮で多いことが知られています。
これは、髪の毛を保護する為に、盛んに皮脂を分泌する必要があるからです。
皮脂の生物種間での違い
皮脂による皮膚のバリアや、頭皮の皮脂による毛髪の保護は、哺乳類動物に共通して備わっている防御機構の一つです。
陸上生活をする上で、乾燥は命を脅かす危険な要素の一つです。
進化の過程において、私たち人類は皮脂で身体を覆うことで乾燥から身を守る術を身につけてきたのです。
このように、皮膚が乾かないようにする作用が皮脂の持つ大切な役割になります。
皮脂の質や量の多い少ないは、哺乳類の中でも生物種によって違うことが知られています。
極端な例になりますが、クジラやイルカなど、水中で生活する哺乳類には皮脂腺がありません。
また、皮脂の成分は、仲間と敵を見分ける臭いの目印にもなります。
そういう意味で、生物種間で皮脂の成分が異なるのは理にかなっています。
皮脂の分泌量は年齢や性別で異なる!最も多いのは成人男性の頭皮!
話を人の皮脂に戻します。
人の中でも、皮脂の質や量には個人差や年齢差、性差があります。
人それぞれ体臭は違います。
これは、皮脂の分泌量や皮脂に含まれる成分の違いが一つの要因になります。
なかでも、皮脂の分泌量の性差については明瞭です。
男性の方が、皮脂の分泌量が多いのです。
また、年齢によっても皮脂の分泌量は変化します。
未成年のときは、成人するに従って皮脂の分泌量は増加していきます。
男性の場合、その後、分泌量は緩やかに減っていきます。
一方で、女性の場合、成人後、皮脂の分泌量は男性に比べると急速に減っていきます。
このように、男性の場合、成人以降でも皮脂の分泌が盛んなので、皮脂のケアをしっかりしないと、悪臭やニキビの原因になったりします。
皮脂は空気に触れて酸化すると悪臭になります。
いわゆる加齢臭です。
加齢臭やニキビは皮脂腺の多い部位で多く発生します。
次の項では、皮脂の量が体の部位ごとで異なること、特に、頭皮の皮脂が多いことについてご説明します。
皮脂が多い人の頭皮では何が起きるか
体の部位ごとで、皮脂腺の存在数は異なります。
基本的には、毛が生えている場所で多く、毛が生えていない部位で少ないことが知られています。
毛の生えていない手のひらや足の裏には、皮脂腺はありません。
逆に、皮脂腺が多いのが頭皮です。
皮脂腺が多い頭皮では皮脂がたまりやすい傾向にあります。
したがって、きちんとヘアケアやスキンケアをして頭皮を清潔に保たないと、臭いの原因になるのです。
また、皮脂の量と髪質には関係があります。
毛髪が太い人は、皮脂の分泌が多く、逆に細い人は少ないのです。
これは、男性ホルモンの影響が関係しています。
男性ホルモンには、
・皮脂の分泌を促進する
・毛髪を太く多くする
という働きがあります。
毛の太くて多い人は、男性ホルモンが多いことになります。
そのため、毛髪が太くて多い人は皮脂の分泌が多いのです。
頭皮の皮脂が多い人のための洗髪法!
では、頭皮のスキンケアや洗髪はどのようにすれば良いでしょうか。
大切なポイントは、「皮脂を余分に取りすぎると過剰に皮脂が分泌される」ということです。
先ほども述べましたように、皮脂は私たちを乾燥から守ってくれます。
そのため、皮脂を落としすぎると、生体反応の一環として、身体を保護するために皮脂腺の働きが活発になります。
この点に留意して、ここからは、頭皮のスキンケアと洗髪方法ご紹介します。
「皮脂が多いと薄毛になる」と思っている読者もいるかもしれません。
しかし、前項でご紹介しましたように、皮脂が多いから毛が少なくなるのではありません。
皮脂が多い人は、むしろ男性ホルモンが多いので、毛髪そのものは皮脂の少ない人よりも強い傾向にあるといえます。
皮脂が多いことで、余計に皮脂を取り除こうとするため、洗髪が過剰になっている可能性があります。
そして、過剰な洗髪が薄毛の原因になっている恐れがあります。
そのため、「皮脂が多いな」と感じる人は、洗髪に用いるシャンプーを刺激の弱いものに変えるなどして、優しく洗浄することを心がけるとよいでしょう。
また、シャンプーの洗い残しも厳禁です。
シャンプーの洗い残しはフケや痒みの症状を引き起こします。
フケが毛穴を塞ぎ、そこに皮脂が溜まることで毛髪の育成が妨げられます。
また、蓄積した皮脂はニキビの原因にもなります。
したがって、シャンプー後はすすぎをしっかりすることが重要です。
シャワーの場合、最低でも3分はすすぐようにすると良いでしょう。
頭皮で多い皮脂の分泌!その予防策は?
最後に、食事や生活習慣で身体の内側から頭皮の皮脂の分泌を抑える方法をご紹介します。
ビタミンB群とビタミンCは肌の健康にとって必要不可欠な栄養素です。
中でも、ビタミンB2やビタミンB6は、脂質の代謝を促進する働きがあります。
これらのビタミンを豊富に含むのが、豚レバーです。
ただし、豚バラ肉ですと脂質が多いので、出来るだけ脂質の少ないモモなどを食べると良いでしょう。
ビタミンCは、ミカンやレモンなどの柑橘類やイチゴなどに多く含まれています。
デザートにお菓子類ではなく、これらのフルーツを摂ることで加齢臭やニキビ対策に繋がります。
また、アボカドはビタミンB群とビタミンCを同時に摂取できるので、皮膚に良い食品といえます。
生活習慣の見直しも皮脂対策には欠かせません。
日常生活での疲れとストレスを抑えることが、皮脂を抑える上で重要なポイントになります。
睡眠不足や疲労、仕事のストレスは皮脂の分泌を促すことが知られています。
これは、ストレスによりホルモンバランスが崩れるためです。
適度な運動と規則正しい生活をして、できるだけストレスを溜め込まないことも重要です。
頭皮の皮脂が多い!その対策と予防を心がけましょう!
頭皮で分泌が盛んな皮脂。
皮脂には私たちの皮膚と毛髪を守る役割があります。
また、洗いすぎるとかえって分泌を促進することになります。
洗髪方法を見直しつつ、日常生活に潜む原因の対策もしましょう。
適切な洗髪方法と規則的なライフスタイルを取り入れて、頭皮の皮脂対策をしてみてはいかがでしょうか。