ダイエットで脂肪を減らすには、運動で身体を鍛えるだけでなく、食生活の改善も必要不可欠。
日々の食事を見つめ直し、カロリー摂取量をコントロールしなければ、脂肪で突き出たお腹は引っ込められないのです。
断食すれば痩せるでしょうが、それで体調を崩したりストレスが溜まってしまうのであれば意味がありません。
無理なく脂肪を減らす食事とはいったいどういうものなのか、ここでご紹介いたします。
食事を見直さなければ脂肪を減らすことは不可能
現代の日本では健康の敵と思われがちな脂肪ですが、人類が生き延びていくためには必須の栄養素でした。
いつ次の食事にありつけるのか分からなかった貧しい時代の人々は、余分なエネルギーを摂取したとき、それを脂肪として体内に蓄え飢餓に備えたのです。
生き残っていくために、そういう肉体のメカニズムが作り上げられていたんですね。
しかし、日本人を取り巻く食の環境は激変しました。
いまや飢えに怯える人は、ほとんど存在しないと言っていいでしょう。
逆に、生きていくのに必要なカロリーをはるかに超えた、過剰な量の食事を摂取する飽食の時代になったのです。
とはいえ、肉体のメカニズムは、貧しかった頃と変わらないまま。
その結果、摂り過ぎた余分なカロリーは、どんどん脂肪となって身体にまとわりつき、ブクブクと太ってしまう人が続出するようになったのです。
太り過ぎると健康を害してしまいます。
どうすれば突き出たお腹を引っ込めることができるのか、脂肪を減らす方法を、食事の面から考察していきましょう。
血液中の中性脂肪が増えすぎると重大な病気を引き起こす
まず最初に「脂肪とは何なのか」について勉強しましょう。
それを知ることが、脂肪を減らす効果的な食事を考える上で、大きなヒントになるからです。
人間の体内には、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞という二種類の脂肪細胞が存在します。
私たちが太る原因を作っているのは白色脂肪細胞。
肥満体型の人だと、体内に400億個以上の白色脂肪細胞があると言われています。
白色脂肪細胞は血液中の中性脂肪を吸収して肥大化し、さらには分裂~増殖していきます。
これが「太る」という現象なのです。
つまり、太るのがイヤならば、血液中の余分な中性脂肪を減らせばいいわけですね。
中性脂肪は、人間が活動していくためには重要なエネルギー源。
しかし、増えすぎると肥満の原因となるばかりでなく、血液中に悪玉コレステロール(LDL)を増やすことにもなります。
その状態が続けば、動脈硬化のリスクが高まり、やがては心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気を引き起こしてしまうことも。
肥満が原因で突然死んでしまうのを避けるためには、血液中の余分な中性脂肪を減らすしかありません。
それでは、中性脂肪を減らす食事について、具体的に考えていきます。
食事の量を減らすと当然脂肪の量も減っていく
脂肪を減らす食事で、まず第一のポイントとなるのが食べ過ぎないこと。
摂り過ぎた余分なカロリーが脂肪になるのですから、量を制限するのは当り前なのですが、思う存分食べることでストレスを発散している方も多いはず。
そういう人には、時間をかけ、しつこいくらいによく噛んで食事することをオススメします。
よく噛むと満腹中枢が刺激されるため、食事の量を減らしても、お腹が一杯になった感覚を得られるのです。
海藻類や野菜などをたくさん食べるようにするのもいいでしょう。
満腹感を得られることにプラスして、食物繊維には、腸内の脂肪を体外に排出する働きもあるので、まさに一石二鳥なのです。
動脈硬化の進行を遅らせるカロチン・ビタミンC・ビタミンEを多く含んだ緑黄色野菜は、特にオススメになります。
成人男性が一日に必要とする摂取カロリーは2000~2300kcal。
これを超えてしまうような量を食べないよう心がけたいものです。
また、一日三食を同じ時間帯に食べるのも大切です。
食事を抜いて空腹状態が続くと、身体が「次にいつ食事(栄養分)を摂取できるか分からない」と判断し、中性脂肪を余分に蓄えようとするからです。
食事と食事の間隔があまりにも長く空くようなら、カロリーの低い間食を摂った方がいいでしょう。
調理法によっても食材の脂質を大きく減らすことが可能
脂肪を減らすことを目的としているのですから、基本的に食事や間食では脂質の多い食材・料理法は避けなければなりません。
具体的に脂質が多い食材は、牛肉や豚肉の脂身・挽き肉・サラミ・ベーコン・卵黄・生クリーム・チーズなどなど。
ところで、じつは食物に含まれる脂質には大きく分けて二つの種類があります。
ひとつは上に挙げた牛肉などに含まれ、動物性とも言われている飽和脂肪酸。
もうひとつは不飽和脂肪酸で、鰯や鯖などの魚類や、オリーブ油・ゴマ油など植物油に多く含まれている脂質です。
飽和脂肪酸は中性脂肪やコレステロールを増加させますが、不飽和脂肪酸には血液中の中性脂肪やコレステロール値を調節する働きがあると言われています。
ですから、不飽和脂肪酸の多い青魚などは、積極的に食べるようにしましょう。
熱に弱い成分なので、オススメはお刺身です。
また、肉料理を食べる場合、牛や豚のバラ肉やロース肉ではなく、ヒレ肉を選びましょう。
鶏のササミであれば、さらに理想的です。
調理法によっても、脂質の摂取量は大きく変わってきます。
油を大量に使用する天ぷらと、食材の脂分を茹でて落とすしゃぶしゃぶでは、どちらが脂質を多く摂取する食事であるのか、すぐに分かりますよね。
一般に、調理法による脂質の多さは、揚げる>炒める>焼く>蒸す>湯通し>茹でるの順番になります。
焼いたり炒めたりするなら、油を使わなくてすむフッ素加工のフライパンを使います。
電子レンジを利用して、油を使わずに調理するのもいいでしょう。
血糖値が急激かつ大幅に上昇すると脂肪が増える原因になる
脂肪を減らす食事を考えるとき、もうひとつ重要なポイントとなる数値があります。
それは血糖値です。
血糖値とは血液中のブドウ糖(血糖)の濃度のこと。
人間が食物を摂取すると、血糖値は上昇します。
すると、上昇した血糖値を下げるために、インスリンという物質が分泌され、血糖値は元の数値に戻るのです。
これ自体は、いたって健康的な肉体のメカニズムであり、気にする必要はありません。
問題は、血糖値が急激かつ大幅に上昇したとき。
血糖値が急増すると、それを下げようと大量のインスリンが分泌されるのですが、じつはこれが太る原因となるのです。
インスリンは血糖によって血液がドロドロの状態になるのを防ぐため、摂取した炭水化物(ブドウ糖)を優先してエネルギーとして使うよう身体に命令します。
そればかりでなく、消費されなかったブドウ糖を脂肪に変えて蓄えようと促すのです。
太らないためには、血糖値を急激かつ大幅に上昇させない食生活が必要なのです。
では、そのためにはどうすればいいのでしょうか?
食事の摂り方によって血糖値の上昇はある程度抑えられる
血糖値の上がりやすい食品としては、白米・パン・麺類・(脂肪の多い)肉類などが挙げられます。
食事する際には、主食である炭水化物の摂りすぎには注意しましょう。
食べる順番を変えるのも、ひとつの方法です。
野菜・茸・海藻類などを最初に食べ、ある程度お腹を満たした後に肉や魚、さらには白米を食べるようにすると、血糖値の上昇が抑えられるのです。
最近では食べても血糖値の上がりにくい「低GI食品」も注目されています。
GI値とは、炭水化物が分解されて糖に変わるまでのスピードを現した数値。
GI値の低い食品は、糖に分解されるスピードが遅いため、血糖値が急激に上昇することが少ないと言われているのです。
たとえば炭水化物なら、白米やパスタと比較すると、玄米や蕎麦はGI値がかなり低くなります。
炭水化物(糖質)の摂取を制限するとともに、低GI食品をチョイスすると、脂肪を減らす効果が期待できるはず。
また、いわゆる「早食い」も血糖値を急激に上昇させる原因となります。
同じ量の炭水化物を摂取しても、短時間で食べるほど血糖値の上昇スピードが早くなることが分かっているのです。
脂肪を減らしたいのなら、最低でも15分以上かけて食事をするように心がけましょう。
ちなみに、世界最先端の企業であるGoogleでは、スタッフの血糖値を一定の範囲内に納めることを非常に重要視しているようです。
NASAの研究により、血糖値が乱高下すると、人間のパフォーマンスが落ちることが判明したためです。
血糖値の上昇を抑えれば、脂肪を減らすことができるだけでなく、仕事の能率や業績までアップするかもしれません。
これはぜひともチャレンジしてみたいものですよね。
焦らず時間をかけて脂肪を減らすことが結局は近道になる
脂肪を減らには、食べる量をセーブすることは避けて通れません。
だからといって極端な食事制限をするのは逆効果。
空腹状態が続くと、脳が生命の危険を感じて消費エネルギーを抑えるようにするため、かえって痩せにくい体質になってしまいます。
急激なダイエットの後にリバウンドに襲われるのも、それが原因となっていることが多いのですね。
早く結果を出したい気持ちは分かりますが、焦りは禁物です。
長いスパンでじっくりと脂肪を減らしていくことが、結果的には近道となるのです。