身体に脂肪がつき過ぎて肥満した状態になると、健康面でさまざまなリスクを負うことになってしまいます。
そこで必要になってくるのがダイエット。
食生活を見直すとともに、適切な運動によって余分な脂肪を燃やすのです。
ハードなトレーニングは億劫だと思われている方も多いかもしれません。
しかし、日常生活の中で無理なく続けられる程度の運動でも、十分なダイエット効果が期待できるのです。
それでは脂肪を燃やすためのお手軽な運動法をご紹介いたしましょう。
脂肪が増えて太り過ぎると健康に影響も
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)という言葉が流行したこともあり、近年では太り過ぎは健康に重大な支障をきたすことが広く知られるようになりました。
身体に脂肪がつき過ぎると、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる疾患の原因となります。
また、糖尿病を引き起こすことにもなりかねません。
体重が増え過ぎたために膝などに負担がかかり、関節痛に悩まされている人も少なくないでしょう。
肥満が原因で癌を発症するケースがあることも分かってきました。
他にも睡眠時無呼吸症候群など、肥満によって発症する病気は非常に多いのです。
厚生労働省によりますと、成人男性の体脂肪率の標準は15~20%。
25%を超えると肥満と判定されます。
もしも体脂肪率が25%を超えている方がいましたら、すぐにダイエットに取りかかりましょう。
「食生活の改善」と「適切な運動」がダイエットの二本柱。
今回は、効果的に脂肪を燃やす運動法にスポットを当てて検証していきます。
運動によって脂肪を燃やすメカニズムを理解しよう
脂肪には大きく分けて内臓脂肪と皮下脂肪の二種類があります。
男性に蓄積しやすく、しかもさまざまな疾患の原因となりかねないのが内臓脂肪。
内臓脂肪が多くなってくると、お腹がどんどん突き出てきます。
健康な肉体を取り戻すためには、とにかく内臓脂肪を減らし、お腹を引っ込めることを目指すべきなのです。
運動によって脂肪を減らすということは、つまり脂肪を燃やすということを意味します。
効果的な運動法をご紹介する前に、まずは「脂肪が燃える仕組み」についてご説明しましょう。
その仕組みを理解することは、ダイエットを成功させる上で必ず役に立つからです。
通常の生活では、人間は血液中の糖質や脂肪をエネルギー源として使用しています。
それだけではエネルギーが足りなくなると、今度は蓄えられた脂肪をエネルギーに変えて供給します。
これが「脂肪燃焼」です。
ちなみに「蓄えられた脂肪」とは「突き出たお腹」のことだと考えていただいて構いません。
脂肪が燃えてエネルギーになればなるほど、身体に蓄えられた脂肪は減っていきます。
要するに、運動によって脂肪が燃焼する状態を長く続けられれば、突き出たお腹が引っ込んでいくわけですね。
脂肪を燃やすのに最も効果的なのが有酸素運動
脂肪を燃やすために有効な運動とは、いったいどういうものなのでしょうか。
最も効率的なのは、有酸素運動と呼ばれる種類の運動です。
有酸素運動は、運動中に体内に取り込んだ酸素を使って脂肪細胞を燃やしエネルギー源とするのですから、突き出たお腹を引っ込めるにはピッタリだと言えるでしょう。
具体的には、水泳・ジョギング・ウォーキング・エアロバイク・エアロビクス・サイクリングなどが挙げられます。
有酸素運動は、運度強度や負荷がそれほど大きくなく、比較的長時間続けやすいのが特徴です。
ただし、ここで注意していただきたいことがあります。
それは、同じ有酸素運動でも、運動強度や負荷は人によって感じ方が大きく異なるという点です。
たとえば、プロのアスリートにとっては準備運動程度のジョギングでも、普段まったく運動をしていない人にとっては息が切れてしまうほどキツく感じてしまう可能性もあるわけです。
息が切れてしまっては体内に十分な酸素が取り込めず、効果的な有酸素運動にはなりません。
その人にとってどの程度の強度設定が有酸素運動として適しているかをチェックする方法に「トークテスト」というものがあります。
最適な強度設定は、息は弾んではいるものの運動しながら隣の人と会話できるレベルが目安です。
そのくらいの強度の運動を日々続けていくことをオススメします。
日常生活のなかでも脂肪を燃やす有酸素運動をすることは十分に可能
水泳やジョギングなど、それほど負荷の高くない有酸素運動でも、普段身体を動かしていない人にとっては、かなりハードルが高く感じられるかもしれません。
実際、一念発起してジョギングを始めてみたものの、想像以上にキツくて三日坊主で終わってしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ダイエットの最大の難関は、長続きさせることだとも言われています。
脂肪を燃やすための運動を始めるにあたっては、最初からあまり気合を入れ過ぎない方が逆にいいのかもしれません。
「有酸素運動」などと書くと、何だか特別なもののように思われがちですが、掃除・洗濯・買い物など、日常生活のちょっとした動作も立派な有酸素運動になるのです。
普段運動をしていない人は、そうした日常生活の動作で、ちょっとだけ負荷を上げてみるのがオススメです。
たとえば、通勤する際には、家から駅までわざと遠回りをして早歩きをしてみる(もちろん駅から仕事場まで遠回りしても構いません)。
駅ではエスカレーターやエレベーターを使わず、なるべく階段を昇り降りする。
ランチを食べるなら、普段より遠くの店まで出かけてみるのもいいでしょう。
休日は、負荷の高いお風呂掃除や雑巾がけで、家をキレイにしながら脂肪を燃やします。
運動することに慣れていない人は、まず日常生活の中で身体を動かす習慣を身につけてください。
ジョギングを三日坊主で終わらせてしまうよりは、はるかにダイエット効果があるはずです。
そして、身体を動かすことに慣れてきたら、本格的に有酸素運動に取り組むのです。
一回あたりの時間は気にせず毎日運動することを心がけよう
有酸素運動をどれくらいの時間続ければいいのか迷う人もいるかもしれません。
結論から先に言いますと、時間はそれほど気にしなくていいので、とにかく毎日継続することを心がけてください。
よく「有酸素運動は20分以上続けなければ脂肪を燃やすことができないので意味がない」という説を見聞きします。
有酸素運動をスタートすると、最初はそのエネルギーは主に糖質でカバーされているのですが、20分を過ぎたあたりからエネルギー源として脂肪が使われる割合が高まっていきます。
これが「20分以上説」の根拠となっていました。
たしかに、脂肪を燃やすという観点からすると一理あるようにも思えます。
しかし、糖質であろうが脂肪であろうが、ダイエット的にはカロリーが消費されていることには違いがありません。
そもそも有酸素運動のスタート時点でも、割合こそ低いものの、脂肪もしっかり消費されているのです。
「20分以上説」は誤解であり、それより短い時間でも有酸素運動には効果があることは、何人もの専門家によって指摘されています。
もちろん、有酸素運動を長時間続ければ続けるほど、より多くの脂肪が燃焼していくことは間違いのない事実です。
ただ、これから脂肪を燃やす運動を始めようと考えている方は、無理して一回あたりの時間を増やすより、とにかく毎日継続することを重視してください。
たとえ時間が短めでも、日々運動を継続することが、脂肪を燃やすためには大切なことなのです。
ダイエットで食事制限するなら無酸素運動も必要不可欠
運動には有酸素運動以外に無酸素運動と呼ばれるものもあります。
たとえば、強度の高い筋肉トレーニングや短距離のダッシュなどが挙げられます。
激しすぎて運動中に酸素を使えないため、無酸素運動と言われているのです。
すでに触れたように、酸素を使って長時間継続できる有酸素運動の方が、脂肪を燃やすには有効です。
しかし、無酸素運動にもダイエット上の効果はあり、軽視していいということではありません。
まず第一に挙げられるのが、筋肉が増えると基礎代謝も増えるという点。
基礎代謝とは、内臓を動かしたり体温を調整したり生命維持のために使われるエネルギーで、一日の消費エネルギーの70%程度を占めています。
つまり、筋肉が増え基礎代謝も増えると、太りにくい体質になるのです。
また、無酸素運動は負荷が強く長時間継続するのが難しいとはいえ、体内のカロリーを消費している点も見逃せません。
ダイエットの大原則は「摂取したカロリー以上のカロリーを運動などによって消費する」というシンプルなもの。
短時間の無酸素運動でもカロリーは消費されるわけですから、ダイエット効果は期待できるのです。
ダイエットで食事制限をしている場合、筋トレなどの無酸素運動は、より重要性が増してきます。
摂取するカロリーが大幅に減少すると、肉体は飢餓モードになって、脂肪だけでなく筋肉まで燃焼させてしまうからです。
筋肉量が落ちるとダイエット効果も落ちるとともに、健康まで損なってしまいます。
さらに、筋肉が減ると基礎代謝も減るので、結果的にリバウンドしやすい体質になってしまうので要注意です。
一方、有酸素運動は筋肉を増強させるという面では、あまり多くを望めません。
スクワットや腕立て伏せなど、無理なくできる範囲で構わないので、ダイエットをする際は、有酸素運動にプラスして無酸素運動も取り入れましょう。
運動を日々継続させることが成功するダイエットのコツ
お腹の周りについた内臓脂肪は、いろいろな疾患の原因となります。
その脂肪を燃やすには、有酸素運動の継続が効果的です。
とはいえ、普段身体を動かしていない人が、いきなり長時間の有酸素運動に挑戦しても、長続きさせることは難しいでしょう。
通勤時に歩く距離を伸ばしたり、家で掃除をしてみたり、まずは日常生活の中で身体を動かす習慣を身につけましょう。
ダイエットで最も重要なのは、日々継続していくことなのです。