舌を見れば健康状態が分かると言われているように、舌は我々人間にとっては大切な器官です。
美味しい料理を味わえるのも、コミュニケーションとして言葉を交わせるのも舌のおかげですよね。
それほど大切な役割を担ってくれるのは、舌が柔軟で複雑な動きが出来るからなのです。
では、舌にはどんな種類の筋肉があるのでしょうか?
今回はそんな大切な舌の筋肉の種類について掘り下げていきましょう。
改めて考える舌の構造と役割、そこにある様々な種類の重要な働き!
舌には、
・食べること
・味わうこと
・話すこと
・表情を作ること
勿論これら以外にも大切な役割がありますが、代表する舌の役割としてはこの4つがあげられます。
「食べることと味わうことは一緒では?」そんな疑問もありそうですが、よくよく紐解くと、実は異なるんですよ。
【食べること】
我々が行う飲食行為ですが、それぞれ専門的には飲むことは「嚥下(えんげ)」、食べることは「摂食(せっしょく)」と呼ばれます。
これらは、食べ物を歯と舌を使って細かくかみ砕き、飲み込みやすくした上で下の動きを使って喉へ送り込み飲み込みます。
【味わうこと】
食べることは食べる動作そのものですが、食事を味わうことは味覚になります。
これは生きていく上で楽しみの部分でもありますね。
この味覚があるおかげで、食事を楽しめたり、元となる食欲を掻き立ててくれるのです。
この味覚は舌の上にある味蕾(みらい)でしか味わうことが出来ません。
【話すこと】
言葉を話すというのは、大切なコミュニケーションツールです。
この話すことは上顎、下顎、舌、唇を動かすこと(構音機能)で可能になります。
舌と言葉を繋げる象徴として「舌先三寸」、「舌ったらず」など様々な言葉があることからも、舌と話すことの関係がお分かりいただけるでしょう。
これら以外にも舌の筋肉を駆使して表情を作り出すというように舌の様々な種類の機能や筋肉を駆使して私たちの日常生活の一部は潤っているのです。
沢山の種類がある舌の筋肉!
次に前述の機能を行う上で、舌にはどんな種類の筋肉があるのかを考えてみましょう。
舌には前述の動作を行うにあたり、位置を動かしたり形を変えたりする様々な筋肉があるのですが、これら舌の筋肉を総称して舌筋(ぜっきん)と呼びます。
舌筋には脂肪細胞を多く含有するため、筋肉でありながら舌の柔軟性・柔らかさが形成されているようですね。
舌筋は大きく分けると舌の位置に関係する「外舌筋(外来舌筋とも称される)」と舌の形状に関係する「内舌筋(固有舌筋とも称される)」とに区分されます。
外舌筋は更に「茎突舌筋」に「舌骨舌筋」、「オトガイ舌筋」とに細かく分けられます。
これに対して内舌筋も「上縦舌筋」に「下縦舌筋」、「垂直舌筋」、「横舌筋」と更に細かく分類されます。
たった舌一つにこれだけ複雑な筋肉組織が存在するお陰で、食べる、味わう、言葉を交わす、表情を作るなど我々の快適な日常生活が送れているんです。
尚、これら舌筋は全て舌下神経によりその運動はコントロールされているのですが、これだけ複雑な舌の動きをたった一つの神経で行うというのも人体の不思議、いえ驚きですね。
外舌筋とはどんな種類の筋肉?
外舌筋というのは、専門書などを見ると難しく書かれているのですが、簡単に言ってしまうと「舌ではない付近にある骨から始まり舌の内部にまで達している筋肉のこと」で、舌以外の外部から始まることから外舌筋と呼ばれているようですね。
前述のように外舌筋は舌の位置などの動き(前後、左右、上下など)をつかさどる種類の筋肉で「オトガイ舌筋」「舌骨舌筋」「茎突舌筋」の3つの筋肉により構成されています。
また、これら3つの筋肉はいずれも左右対称となるように存在しています。
【オトガイ舌筋】
オトガイ舌筋は、下顎の骨から始まる筋肉で、舌を前に突き出したり舌先を尖らせたりといった動きをします。
【舌骨舌筋】
舌骨舌筋は舌骨から始まる筋肉で、舌を引っ込めたりする動きをします。
【茎突舌筋】
茎突舌筋は、側頭骨から始まる筋肉で、舌を丸めたりねじったりする動きをします。
内舌筋とはどんな種類の筋肉?
一方内舌筋とは、こちらも簡単に言うと、舌を構成する骨格筋で骨とは直接の接触はしないで舌の内部で動き舌の形状を変化させることが出来る種類の筋肉組織になります。
舌内部で、というところから内舌筋と呼ばれるようですね。
そして、前述のように「上縦舌筋」「下縦舌筋」「垂直舌筋」「横舌筋」の4つの筋肉により構成されています。
【上縦舌筋】
上縦舌筋は、舌の根元から表面内部を通って舌先へと繋がっていて、舌を前後へと収縮させる筋肉です。
【下縦舌筋】
こちら下縦舌筋は、上縦舌筋とは反対の舌の裏側を通り舌先へと繋がっていて、上縦舌筋同様舌を前後へと収縮させる筋肉です。
【垂直舌筋】
垂直舌筋は、舌の裏側から表面にかけて通る筋肉で、舌を平たくし幅を広げる動きをします。
【横舌筋】
横舌筋は舌の中心部から側面にかけて通る筋肉で、舌を左右方向へ収縮・すぼめる動きをします。
舌の筋肉を鍛えて得られる様々な効果
さて、ここまで舌にはどのような種類の筋肉があってどのような働きをするのかをお伝えして参りました。
舌が如何に大切な働きをしてくれるのか、ご理解は頂けたのではないでしょうか。
そんな舌ですが、舌筋が衰えている方はいませんか?
舌筋が衰えるとは、「食事をよくこぼす」「食事中むせる」「会話する際に違和感を覚える」この3つがその代表的な危険信号とも言うことが出来ます。
この他にも「口呼吸になっている」「顔がたるんできた」なども舌筋の衰えのサインかも知れませんね。
特に口呼吸の場合には、ここから更に「免疫力の低下」や「口臭」、「いびき」と更なる危険因子も含むので注意が必要になります。
これらを予防又は改善するためにも舌筋のトレーニングを行いましょう。
トレーニングを行うことで勿論これらの改善が最有力事項ですが、それら以外にも次のようなメリットがあります。
【美容効果】
舌筋を鍛えることで顔の(口の)筋肉を鍛えることにもなります。
これにより、ほうれい線やたるみ、二重顎などの対策効果が期待できます。
また、これにより顔の血行を促進することにも繋がるので、シミやしわなどにも効果が期待できますね。
上手くいけばしまりが出て、「小顔になった?」なんて効果もあるかも知れませんよ。
【滑舌アップ】
実はこの舌筋トレーニングは、アナウンサーや声優、ナレーターなどのボイストレーニングでもよく使われるのです。
勿論、滑舌のトレーニングとしてですが、滑舌が良くなれば話の説得力も上がりますので、ビジネスシーンなどでも活用出来ますね。
舌の筋肉を鍛えるトレーニング
それではいよいよ舌の筋肉を鍛える数種類のトレーニングをご紹介致しましょう。
いずれも比較的容易に行えますので、日常生活に取り入れてみてください。
【あいうべ体操】
「舌筋トレーニングといえばこれ!」といったように広く知られているトレーニングです。
勿論、顔の筋肉も同時に鍛えてくれますので、顔の引き締め効果が期待できたり表情豊かになれたりするかも知れませんよ。
まずは、「あー」と言いながら大きく口を開けます。
次に、「いー」と言いながら口を目一杯横に広げましょう。
今度は、「うー」の声で口をすぼめましょう。
最後は「べー」で舌を目一杯出しましょう。
これを10セット、1日に3回行います。
【ホンダ式トレーニング】
歯科医である本田氏考案のトレーニングで口臭予防効果が期待出来るようですよ。
顔を45度程度上に向けます。
口を開け(約3センチメートル)、その状態のまま舌先を意識して「上の前歯の裏」から「下の前歯の裏」次に「下右奥歯」、「下左奥歯」の順番に歯茎を舐めるようにリズミカルに動かします。
これを3分(慣れるまでは1分)1日に数回行いましょう。
これらが代表的なトレーニングになりますが、これら以外にも
・口を閉じた状態で「下唇と歯茎の間に舌を入れ、右から左へと5秒で動かし5秒で戻るを3往復」次は上唇と歯茎の間でも同じことを行います。
・天井を見ながら顎を突き出し、その状態で舌を出し鼻と顎にくっつけるように1分程度動かします。
いずれも簡単に出来ますので無理のない範囲で日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
舌筋を鍛えて健康・小顔・滑舌改善効果もゲット!
今回、舌について役割から存在する筋肉、またそのトレーニングとお伝えして参りました。
舌筋が弱っていたら、様々な障害が起こってしまいかねません。
そんなことが無いように日頃から舌筋トレーニングで鍛えておきましょう。
そうすれば、「すっきり小顔」「聞き取りやすい滑舌」なんて副産物も得られちゃうかもしれません。
健康と一緒にそれらの効果も手に入れちゃいましょう。