洗顔はスッキリするので気持ちがいいですよね。
読者の皆さんは、普段から石鹸と洗顔フォームの特性を理解して使用していますか?
とにかく「汚れが落ちればいい!」と思っている男性も多いかもしれません。
この記事では、肌の乾燥対策につながるような洗顔料の知識についてご紹介します。
石鹸洗顔で乾燥する肌!皮膚の乾燥って何?
おでこやほっぺたがカサついて、粉、吹いていませんか?
きちんと保湿をしているつもりでも、肌が乾燥してしまう場合は、洗顔に使っている洗顔フォームや石鹸を見直す必要があります。
正しくない方法で洗顔を行うと、皮膚はカサカサに乾燥してしまいます。
そもそも、皮膚が乾燥するとはどういうことなのでしょうか。
私たちの皮膚は3つの層からなっています。
外側から「表皮層」「真皮」「皮下組織」となっています。
「表皮層」はさらに4つの層からなっています。
4つの層のうち、最も外側にある層を角層または角質層と呼びます。
角質層は、扁平な角質細胞が、およそ10個くらい重なってできていています。
この角質細胞は、脱核して死んだ状態の細胞なのですが、ケラチンという化学刺激に強い特別なタンパク質を豊富に含んでいます。
また、角質細胞はセラミドなど多くの脂質をその周りに含有しており、ケラチンと脂質の構造が「壁」のような働きをすることで外界とのバリア機能を果たしています。
角質層は内部からの水分の蒸発と、外界の刺激を防ぐ働きを持っています。
皮膚が乾燥するというのはこの角層に含まれる水分が減少してしまう状況です。
通常、角質層には10~20%ほどの水分が存在していますが、これの割合が低下すると皮膚は乾燥したと感じて、「カサカサしているな」とか「バリバリしているな」というような違和感を感じます。
石鹸や洗顔フォームで顔を洗うと乾燥するのはなぜ?
洗顔で用いる石鹸や洗顔フォームを見直す必要があるのはなぜでしょうか?
まずは、石鹸や洗顔フォームで顔を洗うときに、わたしたちの肌で何が起きているか考えていきましょう。
角質層の外には「皮脂」とよばれる非常に薄い油と汗でできた膜があります。
皮脂で覆われていることによって、角質層も水分は蒸発から守られれています。
石鹸は、皮脂の表面や角層に入り込んだ油汚れを洗い落とします。
それと同時に皮脂の脂溶性成分も綺麗さっぱり洗い流してしまいます。
また、角質層の脂溶性成分も一部、洗い流すことになります。
そうすると、角質内部の水分が保持されずに皮膚が乾燥してしまいます。
そのため、石鹸や洗顔フォームで洗顔をすると、肌がカサつくのです。
石鹸と洗顔フォームの洗浄力の違いは?
石鹸や洗顔フォームが皮脂や角質層の油脂を洗い流すのは、界面活性剤の働きによります。
界面活性剤というのは、相性の悪い油と水をくっつける働きがあります。
水に溶けにくい油汚れを水に取り込ませる作用があります。
その働きによって、保水力が一時的に奪われて皮膚が乾燥します。
では、石鹸と洗顔フォームで洗浄力に違いはあるのでしょうか?
(洗顔フォームの中にも石鹸を含む製品がありますので、この記事では、洗顔フォームを、石鹸以外の洗剤、すなわち、合成洗剤を含むものとして話を進めています。)
石鹸と合成洗剤は、含まれる界面活性剤成分によって分類されます。
石鹸の界面活性剤成分は脂肪酸ナトリウムまたは、脂肪酸カリウムになります。
他方、脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウム以外の界面活性剤を含む洗剤をひっくるめて合成洗剤と呼びます。
石鹸に含まれる脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムは、水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの金属イオンと反応して、「石鹸カス」となる特徴を持っています。
一度「石鹸カス」になってしまうと、界面活性剤としての水と油をくっつける働きが無くなります。
そのため、石鹸の洗浄力は長持ちしない傾向にあります。
その一方で、合成洗剤は「石鹸カス」を作りません。
したがって、合成洗剤は、界面活性剤としての働きを持続し続けます。
また化学成分としても合成洗剤で良く用いられるラウレス硫酸ナトリウムは脂肪酸ナトリウムなどに比べると、油を洗い流す作用が強いことが分かっています。
これを聞いて、「石鹸で洗顔した方が、肌がキュッキュッとなって、よく洗浄されている!」と思う読者もおられるかもしれません。
実は、肌が「キュッキュッ」となる原因は、肌に付着した石鹸カスが「キュッキュ」となる素材であることによります。
日本の水道水にはミネラルがあまり含まれていませんが、ヨーロッパで硬水を使って石鹸で洗顔をすると、驚くほど洗い上がりが「キュッキュッ」となります。
石鹸と合成洗剤を比較する際、水に溶けたときのpHが「弱酸性か?アルカリ性か?」ということで、洗剤の良し悪しを比べているような場合もあります。
確かに、石鹸は水溶液中で弱アルカリ性になります。
アルカリ性の溶液は、細胞の主成分であるタンパク質を溶かす作用があります。
しかし、厚生省が認可する化粧品石鹸や薬用石鹸には、真皮まで溶かすような強いアルカリ性の製品は無いので、「石鹸がアルカリ性だから危ない!」などと過剰に心配する必要はあまりないでしょう。
また、皮膚表面は弱酸性なので、石鹸によって中和されて、皮膚を溶かすような条件にはならないと言われています。
まとめると、石鹸と合成洗剤どちらの界面活性剤も皮脂を溶かしますが、石鹸の方が合成洗剤に比べると洗浄力が弱く、肌には優しいと言えます。
石鹸と洗顔フォームの乾燥への影響の違いは?
ここまでで述べてきたように、石鹸と合成洗剤どちらの界面活性剤も皮脂を溶かします。
では、皮膚から皮脂がなくなるとどうなるのでしょうか?
そのままだと、角質層が完全に乾燥してしまいます。
洗顔後、皮脂が取り除かれると新たに皮膚にある皮脂腺から皮脂が分泌されます。
この皮脂の分泌までの時間が長ければ長いほど、肌が乾燥して荒れることになります。
先ほども述べましたように、合成洗剤は石鹸カスを生じないので、長い間、洗浄力を持続します。
そのため、合成洗剤で洗顔をした方が皮脂の戻りが遅くなります。
つまり、界面活性剤のことだけを考慮すると、石鹸よりも合成洗剤の方が肌の乾燥を促進することになります。
しかし、実際には他の要素も考える必要があります。
石鹸よりも洗顔フォームの方が乾燥しにくい?
界面活性剤の特性からは合成洗剤の方が皮膚の乾燥を促進しうるというお話をしました。
しかし、製品としての洗顔フォームの多くは、こうしたデメリットを補う形でさまざまな添加物が含まれています。
泡立ちを良くし、皮膚から落ちやすいようにするためにシリコン類の薬品が含まれている場合があります。
シリコンは基本的には人体にとって無害です。
豊胸手術でシリコンを使うのは皆さんも耳にしたことがありかもしれません。
皮膚に埋め込んでも害がないから使われます。
シリコン類が洗顔フォームに入っていることで、濯ぎが良くなり、皮脂への影響を最小限に抑えるようにデザインされているのです。
一方で、石鹸による洗顔だと、生じた石鹸カスが皮脂腺を塞ぎます。
そうすると、皮脂の分泌に悪影響が出て肌が乾燥する原因となります。
また、皮脂腺内に脂が蓄積しニキビの原因となったり、ニキビの炎症を悪化させたりすることがあります。
このように一概に洗顔フォームが石鹸に劣っているとは言い切れない部分もあります
石鹸と洗顔フォームの使い分けで効果的な乾燥対策を!
一口に男性の肌といっても、60歳の熟練漁師と20代前半の新人サラリーマンとでは全然違います。
自分に合った洗顔料を選ぶ必要があります。
あくまでも目安ですが、乾燥しがちな男性には洗顔フォーム、皮膚が敏感な人は石鹸の方が良いでしょう。
また、肌の状態によって、石鹸と洗顔フォームを使い分けるというのもおすすめです。
ただし、石鹸でも添加物が多く含まれている場合があります。
防腐剤が含まれている場合は、アレルギー持ちの人には炎症を引き起こすことがあるので注意が必要です。
理想的には添加物がほとんど入っていない無添加石鹸を洗顔に使うのがよいでしょう。
最後に、石鹸でも洗顔フォーム、どちらを使うにしても大事なポイントがあります。
それは、洗顔後に洗顔料をしっかりとすすぎおとすということです。
洗顔料が皮膚に残っていては、どんなに品質の良いものを使ったとしても肌は簡単に荒れてしまいます。
肌が乾燥しがちな人は、界面活性剤や添加物の成分をチェックして、洗顔料を見直してみてはいかがでしょうか。
石鹸と洗顔フォーム・正しいチョイスで健康的な美顔を!
石鹸と洗顔フォームで皮膚に対するメリットとデメリットがあることがお分かりいただけたでしょうか。
男性の肌は皮脂が多く、水分が少ないため、より肌ケアに注意しなければなりません。
これを機会に皆さんも洗顔するときの石鹸や洗顔フォームを見直して健康で強い肌作り目指してみてはいかがでしょうか?