若いころは気にならなかった中性脂肪やコレステロール値ですが、齢を重ねるごとに、だんだんと気になってきますよね。
ここでは、中性脂肪やコレステロール値の上昇を防ぐ習慣や、食事のメニューについてお話しします。
中性脂肪が高いかたは、普段の生活習慣や、食事内容を改善するチャンスですよ!
食事のメニューなどの改善が必要な中性脂肪の数値
毎年の健康診断結果が出ると、あちらこちらで「中性脂肪が高かった」「コレステロール値が高かった」との声が聞こえてきますよね。
このように中性脂肪は悪のようにいわれていますが、私たちの身体を動かす大事なエネルギー源でもあります。
食物から摂取した脂質は小腸に吸収され、やがて血液のなかに入ります。
中性脂肪やコレステロールは、血液のなかを流れる脂肪の一種なのです。
このことから、あまりにも数値が低いと体温の維持ができなくなってしまうため、完全に悪ではないのです。
ところが、生命の維持活動に使われなかった中性脂肪は皮下脂肪となり、ぜい肉となってあらわれます。
ここで、中性脂肪の基準値を見てみましょう。
なお、中性脂肪の数値は「TG」と表記されます。
人間ドック学会によると、男性の場合は39~198mg/dl、女性では32~134mg/dlが中性脂肪の基準値としています。
中性脂肪の数値が30mg/dl以下の場合は、生活に支障をきたす危険もありますし、150mg/dlを超えたあたりから生活習慣の見直しや食事のメニューなどの改善が必要になってきます。
痩せていても食事や生活習慣を見直してみよう
中性脂肪やコレステロール値が高いと聞くと肥満体型のかたを思い浮かべますが、痩せている体型のかただとしても数値が高くなることもあるので、注意が必要です。
なぜならば、前項でもお話ししたとおり、中性脂肪やコレステロールは吸収されたのち血液中を通過します。
その後、皮下脂肪として溜まるのか、内臓や血液中に留まるタイプなのかは、人それぞれの体質によって違うからです。
痩せ体型にも関わらず中性脂肪が多いかたは、中性脂肪が血液中に留まっている可能性があります。
ただし、血液中を流れる脂肪によって、総コレステロール値やLDL‐コレステロール値(悪玉コレステロール)が高くなる傾向もありますので、暴飲暴食は避けましょう。
たくさん食べても太らないからと油断しているかたは、一度食事のメニューや生活習慣を見直してみる機会かもしれません。
では、とくに脂っぽい食事をしているわけではないのに、中性脂肪やコレステロール値が高いのは、いったい何が原因なのでしょうか。
その原因について、次の項でご説明します。
中性脂肪の数値を上げないための習慣
先ほどご説明した通り、コレステロールは体温維持などに必要な物質です。
そのため、脂っぽい食べ物を好まない方の場合でも、身体に必要なコレステロールの約7割は私たちの体内で作られているのです。
しかし、コレステロール値の高い人は体内でコレステロールを作る働きが強く、必要以上にコレステロールを作ってしまっている可能性があります。
そのため、総コレステロール値やLDL‐コレステロール値が高い方は、コレステロールの高い卵やいくら、タラコやうなぎといった食品や、コレステロールの原料となる糖質や脂質を摂り過ぎないように気をつけましょう。
また、脂っぽい食事だけでなく、甘いものやアルコールの過剰摂取も中性脂肪やコレステロールが増える原因になります。
また、以下のような習慣がある場合、中性脂肪の数値を上げてしまうことに繋がるかもしれません。
▼お腹が空いたら手軽なパンを食べる
パンは脂質、糖質ともに多いため、手軽に食べられる軽食ですが、食べ過ぎには気を付けましょう。
▼油をたくさん使って料理する
コレステロールを下げる効果が期待できるとしているオリーブオイルも、エネルギーがないわけではありません。
摂り過ぎには注意しましょう。
▼魚ばかり食べている
健康的と言われる魚ですが、脂質とエネルギーがあるので、摂りずぎはNGです。
バランスの良い食事のメニューを心がけましょう。
▼ドレッシングやマヨネーズをたっぷりかける
ついかけ過ぎてしまいますが、少しの量でも十分味は付きます。
バランスのとれたメニューは日本食
普段の生活習慣や食事の見直しによって、中性脂肪やLDL‐コレステロール値を下げられたらいいですよね。
では具体的に、どのような食事のメニューを心がければよいのでしょうか。
動脈硬化性疾患の予防が期待される食事は、ずばり日本食です。
日本食といっても伝統的なもので、その食事内容は精米前の穀物と季節の野菜や小魚、海藻といったメニューで、動物性に含まれる脂質を適度に抑えた食事になります。
昔ながらの日本食を心がけるだけで自然とエネルギー量を低くできますし、脂質も控えることができますよ。
外食などが多いかたは、ぜひ和食の定食をオーダーしましょう。
和食の定食というと、
・ご飯
・魚や大豆製品などの主菜
・野菜やきのこ、海藻を使った副菜
・不足した野菜を補う副々菜
・汁物
といった内容です。
こちらの食事をご自宅で毎日作るとなると大変なので、外食したときこそ、バランスのとれたメニューを選ぶチャンスです。
ただし、和食は塩分が多く含まれますので、その点には気を配ってくださいね。
中性脂肪を溜め込まないポイントは調理過程にあり!
外食だけでなく、ご自宅で食事をするときも、ちょっとしたポイントを押さえれば中性脂肪やLDL‐コレステロール値の上昇を防ぐことに繋がります。
まずは、調理方法です。
揚げたり炒めたり、焼いたりする調理方法よりも、蒸したり湯通ししたり、茹でたりする調理方法の方が脂質やエネルギーをおさえられますよ。
また、炒めたり焼いたりするフライパンは、油を敷かなくても調理しやすいフッ素加工が施されたフライパンがおすすめです。
油にも注目して、LDL‐コレステロールを増やすといわれている動物性脂肪は摂り過ぎないように注意してください。
動物性脂肪の例を挙げると、バターやラード、肉の脂身やパーム油などです。
肉は、ばら肉やロースといった脂身の多いものではなく、ヒレ肉やもも肉、ささみなどをメニューに加えることで、動物性脂肪の摂取を少なくできますよ。
鶏肉の皮もおいしい部分ではありますが、脂質たっぷりです。
包丁で取り除いてから調理しましょうね。
食事のメニューには青魚と大豆を!
青魚には中性脂肪やLDL‐コレステロールを減らす働きもあります。
サンマやカツオ、ブリやサバ、イワシなどが青魚です。
ただし、サンマやブリなどは脂質とエネルギーが多いため、摂りずぎには注意しましょう。
青魚の選びかたですが、青魚に含まれるDHAやEPAは酸化しやすいため、なるべく新鮮なものを選んでください。
そして、大豆製品もLDL‐コレステロール値の改善に効果が期待できます。
豆腐や納豆などの大豆製品も、青魚と同じように一日一食は摂っていきましょうね。
最後に、意外と知られていない、食物繊維とコレステロールの関係性をお話ししましょう。
玄米や穀物、野菜やキノコ、海藻などに含まれる食物繊維ですが、脂肪分やコレステロールを腸内で包み込んで排出してくれる働きがあります。
以下の、食物繊維を多く含む食品を上手に摂取して、コレステロールの吸収を防ぎましょう。
<食物繊維の多い食品とその含有量(※可食部100g当たり)>
・おから 11.5g
・干しシイタケ 7.5g
・納豆 6.7g
・ゴボウ 5.7g
・ひじき 5.2g
・ブロッコリー 4.4g
・生シイタケ 3.5g
このほかの野菜にも食物繊維は含まれます。
メニューには具だくさんの味噌汁を足したり、食べやすくカロリーも抑えられる鍋物などの食事でおいしく中性脂肪を下げていきましょう。
健康であることが第一
何事でも、極端にしてしまうとストレスになってしまいますから、ほどほどに対策を行ってみましょう。
食事の内容や普段の習慣を少しずつ変えていくだけでも、コレステロール値の改善が期待できますよ。
中性脂肪の数値が極端に悪い場合は、医師に相談しましょう。
ご自身の身体の状態をきちんと知って、健康的な日々を過ごしましょうね。