前歯の噛み合わせに、違和感を持っている男性はいらっしゃいませんか?
正常でない場合、前歯の噛み合わせは「浅い」状態であったり「深い」状態であったりします。
それぞれ、日常生活を送る上で様々な問題が引き起こされます。
こちらでは、前歯の噛み合わせが浅い原因や深い原因について、またそれぞれに引き起こされるトラブルについてお話ししていきます。
前歯の噛み合わせには「浅い」と「深い」がある
前歯の噛み合わせに、なんとなく違和感を感じたことはありませんか?
鏡で噛み合わせをよく観察したことはあるでしょうか。
前歯の噛み合わせには、「浅い」状態と「深い」状態があります。
噛み合わせが「浅い」とは、正面から前歯を見た時、
・上下の前歯が重なることなくギリギリ当たっている状態
もしくは、
・上の前歯と下の前歯の間に隙間が空いている状態
をいいます。
噛み合わせが浅い中でも、上記したように、上下の前歯の間に隙間が空く状態を「開咬(かいこう)」または「オープンバイト」と呼びます。
これに対して、噛み合わせが「深い」とは、正面から前歯を見た時、
・上の前歯が下の前歯に被さり、下の歯が隠される状態
をいい、「過蓋咬合(かがいこうごう)」と呼びます。
噛み合わせの「浅い」・「深い」は、見た目の問題だけでなく、日常生活に関わる身体的問題をも引き起こすことをご存知ですか?
自分ではその直接的な影響に気付かないことが多いですが、後に様々なトラブルを引き起こす原因となるのです。
次項では、前歯の噛み合わせが「浅い」場合に起こる、様々なトラブルについてお話ししていきます。
前歯の噛み合わせが「浅い」とコミュニケーションに影響!?
前歯の噛み合わせが「浅い」と、どんなトラブルが引き起こされるのでしょう?
トラブルとして、以下のようなものが挙げられます。
●食べ物を噛み切ることが難しい
●しゃべる時に息が漏れ、「サ行」や「タ行」の発音時に空気が抜けやすく、舌足らずな発音になってしまう
●唇が閉じにくく、閉じるとアゴにシワができることがある
●前歯がきれいに閉じられないため、笑った時の口元が気になり自信がもてない
●顔が面長になり、鼻の下の部分が長く成長する傾向がある
●前歯に咬む力が加わらず、奥歯にすべての負担がかかってしまうため、奥歯が磨り減り平らになってしまうことがある
●奥歯への過度の負担で、知覚過敏や奥歯の寿命が短くなるなど、最終的に歯を抜くことにも繋がってしまう
このように、噛み合わせが浅いと口元のトラブルに加え、奥歯への悪影響、さらには咬む力のアンバランスさから、肩こりなど身体のゆがみまで引き起こしてしまうこともあるのです。
では、噛み合わせが「浅く」なってしまう原因は何なのでしょう?
次項では、その原因についてご説明します。
前歯の噛み合わせが「浅い」のは癖が関係しているかも
前歯の噛み合わせが「浅い」状態になってしまう、その原因は何にあるのでしょう?
原因として、以下のような事が考えられます。
●顎の骨の成長過程での異常
●歯の生える場所や、歯の出かたの影響
●長期にわたる哺乳瓶やおしゃぶり、指しゃぶりの影響
●唇を噛んだり、舌を前に突き出す癖
●鉛筆など棒状のものを噛む癖
●物をよく噛まないで食べる
●管楽器の影響
このように、前歯の噛み合わせが浅い原因には、先天的なものと後天的なものがあります。
原因が癖など後天的なものの場合は、その癖を止め、口元の機能訓練を行うことで十分改善させることができます。
また現在では、歯を削ったり抜いたりすることなく、元々の歯を温存させた治療が可能になってきています。
外科手術はなるべく行わずに、矯正治療のみで不正咬合を改善できるよう、治療技術や矯正素材も進化してきているのです。
前歯の噛み合わせが浅く「開咬」などでお悩みの場合は、専門の歯科医に相談し、最良の治療法を提案してもらいましょう。
前歯の噛み合わせが「深い」ことで起こるトラブルとは
これまで、前歯の噛み合わせが「浅い」形態についてお話ししてきましたが、ここからは噛み合わせが「深い」ことで起こるトラブルについてお話ししていきます。
前歯の噛み合わせが「深い」と、どんなトラブルが引き起こされるのでしょう?
トラブルとして、以下のような事が考えられます。
●上顎に下の前歯が当たるため、食事の時に痛みを生じる
●奥歯でものを噛もうとすると、下の前歯が上顎や上の前歯に強く当たってしまうため噛みにくい
●上下の前歯が常に擦れ合うため、「歯が削れる」「欠ける」「治療部分が破損する」などが起こりやすい
●下の前歯が、上の前歯を押し上げる状態が続くので、上の歯が出っ歯になってしまうこともある
●上の前歯が下の前歯に被さるので、下顎の動きが制限され顎関節に負担がかかり、顎関節症を引き起こすこともある
このように、噛み合わせが「深い」場合は、痛みを伴うものもあり、深刻なトラブルを引き起こしてしまうのです。
では、噛み合わせが「深く」なってしまう原因は何なのでしょう?
次項では、その原因についてご説明します。
前歯の噛み合わせが「深い」その原因
前歯の噛み合わせが「深い」状態になってしまう、その原因は何にあるのでしょう?
原因として、以下のような事が考えられます。
●遺伝による先天的な骨格の発達異常
●顎関節の位置異常で圧迫されることによる下顎の後退
●上の前歯の長さ(伸びすぎ)
●奥歯を抜歯したことにより歯の位置が動き、噛み合わせに影響
●歯ぎしりや食いしばり
●下唇による下の前歯への圧迫で、歯の位置が内側に動いてしまう影響
過蓋咬合の場合は、「奥歯の位置の低さ」が前歯の噛み合わせに影響を及ぼしていることが多いとされています。
そのため、改善させるには、奥歯に高さを出して噛み合わせを浅くし、前歯を動かして調整する必要があります。
噛み合わせが浅い場合の話でも触れましたが、外科手術はできる限り行わず治療する方法が医学の進歩により解明されてきています。
噛み合わせが深く「過蓋咬合」などでお悩みの場合は、専門の歯科医の元で、顎機能検査など精密な検査を受け、自分にあった最善の治療法を見つけましょう。
歯並びだけでなく「噛み合わせ」にも気を配ばることが大切!
歯並びに比べて、噛み合わせを気にする人は意外に少ないようです。
噛み合わせの悪さが「軽度」の場合は、開咬や過蓋咬合のような日常生活の支障をあまり感じないため、自分の噛み合わせを軽視している人が案外多いといわれています。
実際には、日本人の約80%の人が、噛み合わせに何らかの異常を持つというデータもあります。
噛み合わせに多少の異常を感じていても、普通に食事ができ、見た目もそれほど気にならないため、放置してしまう人が多いのです。
しかし放置してしまうと、ものを噛むのに奥歯しか使っていなかったり、全体の半分程度の歯しか使っていなかったりと、偏った歯の使い方でさらにゆがみを生じ、噛み合わせを悪化させることに繋がります。
噛み合わせの異常が見つかった場合は、早い対処が必要です。
噛み合わせは自分で簡単にチェックできるので、鏡を見ながらチェックしてみましょう。
チェックのポイントは以下の3つです。
①上の歯の方が下の歯より、2~3mm外側に並んでいる
②上下の前歯の中心が一致している
③上の前歯が下の前歯に重なる高さが2~3mmになっている
正常な噛み合わせでは、上の歯は下の歯より数mm外側に位置し、前歯は中心が一致し、下の前歯の3分の1が上の歯に隠れている状態が理想です。
噛み合わせが浅い、深いに関わらず、ぜひ一度全体の歯をチェックし、自分の歯の噛み合わせをしっかり確認してみましょう。
「噛み合わせの良さ」は健康に関わる大切なこと
前歯の噛み合わせが「浅い」人や「深い」人は、顕著な症状がある場合には、速やかに歯科医と治療法を検討することをおすすめします。
自覚症状がない場合でも噛み合わせが悪いことで、顎の痛みや顔のゆがみ、肩こりなど、気付かぬうちに身体のバランスを崩していることがあります。
噛み合わせが悪いまま放置してしまうと、さらに悪化してしまうこともあるので、常に噛み合わせも意識して歯のチャックを行うようにしましょう。