ダイエットとは、つまるところカロリーとの戦いです。
いかに摂取カロリーを抑え、いかに消費カロリーを増やすかに左右されます。
摂取カロリーを少なくするのが食事制限。
そして、運動などで脂肪を燃焼させて、消費カロリーをアップさせるのです。
しかし、そこには危険な落とし穴も存在します。
間違ったダイエット法は、あなたの健康を損ねる恐れがあるからです。
正しくダイエットするためには、カロリーに関する知識が必要不可欠でありますので、カロリーとは何なのかを学びながら、健康的なダイエット法について考えてみましょう。
カロリー摂取量と消費量の収支が脂肪の増減の原因となる
健康な人間が太ったり痩せたりするのは、ほとんどカロリーの収支が原因となっています。
カロリーの摂取量と消費量の収支バランスによって、脂肪の増減が決まるのです。
好きな物をバクバク食べ、まったく運動をしなければ、当然カロリーの収支は大幅なプラスになりますよね。
大幅なプラスとなり余ってしまったカロリーは、どうなるのでしょうか。
それが余分な脂肪となって肥満を招き、いずれさまざまな病気の原因となるのです。
つまり、食事制限で摂取カロリーを抑える一方で、運動などで消費カロリーをアップさせ、その収支をマイナスにすることがダイエットの基本的な理屈になります。
とはいえ、やみくもにカロリー収支をマイナスにすればいいというものではありません。
人間が健康的に生きていくためには、ある程度の量のカロリーが必要だからです。
ダイエットをするにあたって、いったいどの程度の食事制限をすればいいのでしょうか。
あるいは、どの程度の運動で脂肪を燃焼をさせればいいのでしょうか。
健康的かつ効率的なダイエットを考えるとき、カロリーに関する知識は不可欠なものになります。
カロリーとは何かを知ることで、適切な食事制限や、有効な運動法を理解することができるのです。
脂肪1kgを燃焼させるには
カロリーとはエネルギー(熱量)の単位です。
1リットルの水の温度を1℃上げるのに必要なエネルギーが1kcal(キロカロリー)。
ダイエット関連で言えば、脂肪1グラムは9kcalに相当します。
脂肪1kgなら9000kcal。
人間の脂肪は脂肪細胞として体内に蓄えられています。
脂肪細胞のうち、20%は水分など脂肪以外の成分。
それをもとに計算すると、脂肪1kgは9000×0.8=約7200kcalになります。
すでに触れたように、ダイエットとはカロリーの収支をマイナスにすること。
つまり、1kgの脂肪を燃焼させて減らすには、運動などによって7200kcalのカロリーを余分に消費しなければならない計算になります。
時速8kmのジョギングを30分続けたときに消費されるカロリーが約240kcal。
それを考えると、脂肪1kg=7200kcalは気の遠くなるような数字に感じられるかもしれません。
しかし、だからといって焦りは禁物です。
早く脂肪を減らしたいからと、極端な食事制限をしてカロリー摂取量を減らしたりすると、健康を害してしまうからです。
成人男性が一日に消費する基礎代謝のカロリーは約1500~1600kcal
人間は、たとえ寝たままで一切運動していなくても、体内の脂肪を燃焼させ、かなりの量のカロリーを消費しています。
それが基礎代謝です。
基礎代謝とは、内臓を動かしたり体温を維持したり、生命を維持するために消費されるカロリーのことです。
一日あたりの総消費エネルギーの約70%を占めています。
基礎代謝の量は、年齢や性別、あるいは体格や計算方法によって多少変わってきます。
基礎代謝を計算する方法で代表的なものがハリス・ベネディクト方程式。
その計算式は男性の場合、66+13.7×体重【kg】+5.0×身長【cm】-6.8×年齢。
たとえば35歳で身長170cm×体重70kg程度の男性の場合、だいたい一日に1600kcal程度になります。
ちなみに、年齢が上がると基礎代謝のカロリーは徐々に低下し、体重が増えるとアップします。
ところで、実際の日常生活では、じっと寝たまま安静に過ごすというわけにはいきませんよね。
私たちは仕事などで身体を動かすことで、基礎代謝にプラスしてカロリーを消費しているわけです。
もちろん、そのカロリー消費量にも個人差があります。
肉体労働をしている人とデスクワークをしている人では、カロリー消費量に差が出てくるのは当然でしょう。
そうした日常生活の身体活動で消費されるカロリー量を推定するために使われる指数を身体活動レベルといいます。
日常の身体活動レベルによって脂肪の燃焼量にも個人差がある
身体活動レベルは仕事などの性質によって、レベルⅠ(低い)・レベルⅡ(普通)・レベルⅢ(高い)の3段階に分けられます(4段階に分けるケースも)。
レベルⅠは、生活の大部分が座った状態で、静的な活動が中心の場合。
レベルⅡは、座り仕事が中心で、通勤・買い物・家事、あるいは軽いスポーツなどが含まれる場合。
レベルⅢは、立ち作業や移動の多い仕事、あるいはスポーツなどかなりハードな運動を習慣的に行っている場合。
もちろん、身体活動レベルが高ければ、それだけ多くの脂肪を燃焼させていることになります。
3段階に分かれた身体活動レベルの違いをもとに、1日に必要なカロリー量を導き出してみましょう。
計算方法は、基礎代謝量(kcal)×身体活動レベル=一日に必要なカロリー。
身体活動レベルの欄には、レベルⅠには1.50、レベルⅡには1.75、レベルⅢには2.00をあてはめてください。
礼をげると、35歳で身長170cm×体重70kg、そして身体活動レベルがレベルⅡである男性の場合、基礎代謝量1600kcal×身体活動レベル1.75=2800kcal。
一日あたり、だいたい2800kcalのカロリーが必要となるわけです。
一日の摂取カロリーが3000kcalを超えてしまうような食生活を送っているのなら、キチンとした食事制限が必要になります。
早く脂肪を燃焼させて痩せたいからといって、一日に必要な摂取カロリーを大幅に下回る食事制限を続けていると、栄養不足でそのうち健康を損ねてしまうので注意しましょう。
ダイエットは長期戦で取り組まなければならないのです。
一ヶ月単位でカロリー量を減らし脂肪を燃焼させよう
先ほど触れたように、脂肪1kgを燃焼させるには約7200kcalを消費する必要があります。
この数字だけ見ると、うんざりしてしまうかもしれません。
しかし、発想を変えて一ヶ月単位で考えればヤル気が出てくるはずです。
たとえば、カロリー収支を一日あたり250kcalマイナスにしてみたらどうなるでしょうか。
250kal×30日=7500kcal。
単純な計算ではありますが、カロリー収支を一日250kalマイナスにすれば、一ヶ月で脂肪を1kg減らすことが可能になるわけです。
ほとんど運動をしていなかった人なら、毎日30分程度のジョギングをすれば、それまでの生活と比較して一日250kalを余分に消費することが可能です。
また、食事制限から考えてみると、ご飯一膳が約235kcalになります。
ご飯のおかわりを一膳我慢したら、一ヶ月で7000kcal以上のマイナスになるわけです。
あくまでも机上の計算ではありますが、このように一ヶ月単位で考えてみると、脂肪を1kg燃焼させるのも、それほど難しくないように思えてきたのではないでしょうか。
そして、ダイエットは時間をかけて行うべきものだということもお分かりいただけるのではないかと思います。
微量の食事制限と適度な運動が正しいダイエットの方法
繰り返してきたように、ダイエットとはカロリーの収支計算です。
しかし、だからといって数字上の帳尻合わせをしないよう注意しましょう。
たとえば、一日に必要な摂取カロリーをジャンクフードで補っていたとしたら、たとえ数字上のカロリー計算は正しかったとしても、とても健康的とは言えません。
また、間食で甘いものを楽しみたいがために、主食のカロリーを削ったりするのもよろしくありません。
カロリーを計算しつつバランスの取れた主食を三食キチンと食べ、そこでしっかりと栄養を摂りながら運動で脂肪を燃焼させて、徐々に痩せていくのがダイエットの理想です。
運動といっても、それほど大袈裟に考える必要はありません。
たとえば、仕事場への行き帰りに20分早歩きをするだけで、60~70kcalが消費できます。
そして晩御飯でご飯を一膳我慢すれば、一日合計約300kcalをマイナスにすることが可能になるのです。
この生活を一ヶ月続けると、脂肪が約1kg減少する計算になります。
もうちょっと脂肪を減らしたいのなら、食事制限をするのではなく、階段の昇り降りや腕立て伏せ・スクワットなどの筋トレをプラスするといいでしょう。
過度な食事制限で痩せようと考えると、健康を損なうばかりでなく、無理がたたってダイエットにも失敗してしまう可能性が非常に高いのです。
カロリーの収支をマイナスにして健康的なダイエットを成功させるには、長期的に微量の食事制限と適度な運動を行うのが一番の近道なのです。
焦らずに長いスパンで徐々に脂肪を減らしていこう
お腹の周りについた内臓脂肪は健康の敵。
長生きしたいのなら、徐々に減らしていくべきでしょう。
ただし、急激で無理なダイエットをして健康を損ねてしまっては元も子もありません。
人間が健やかに生きていくためには、ある程度の量のカロリーを摂取する必要があります。
痩せるために食事制限をするにしても、限度というものがあるのです。
自分にとって一日当たりどれくらいのカロリーが必要なのかを計算して、長いスパンで脂肪を減らしていきましょう。
ダイエットに焦りは禁物なのです。