ほとんどの男性は、ひげを剃ることは勿論、抜いた経験もあるかと思います。
ひげを毛抜きで抜いてみると、毛根に透明の塊が付着していることは、皆さんよくご存知でしょう。
しかし、たまに毛根部分に黒いインクのようなものがくっ付いていることがあり、「これは何なのか」と疑問に思ったことはないでしょうか?
この記事では、そんな疑問を解決すべく、ひげの毛根の仕組みやひげの抜き方、その注意点についてご紹介していきます。
ひげを抜いたら毛根に黒い液体が!毛根の仕組み紹介
抜いたひげの毛根が黒い理由を知る前に、少しひげの根元の仕組みについてご説明していきましょう。
毛根とは、皮膚下に埋もれている部分の総称で、文字通りの「毛の根」の部分です。
大まかに見ると、毛根を覆い囲んでいる「毛包」と、毛が生成される「毛球部」で組織されています。
「毛球部」は根元の膨らみ部分を指し、この内部に「毛乳頭」と「毛母細胞」があります。
・毛乳頭
ひげの育毛を司る司令塔であり、毛細血管と繋がっています。
毛細血管から運ばれた栄養成分を受け取り、毛が抜けると、毛母細胞に発毛のシグナルを送ります。
・毛母細胞
毛を作り出す細胞で、毛乳頭から発毛の指令を受けると、細胞分裂を盛んに繰り返し、同時に角質化(硬くなること)しながらメラニン色素で黒く色づけられていきます。
こうして「目に見える」毛を作っていきます。
以上が、ひげの毛根と呼ばれる内部の構造です。
一度ひげを抜くと、もうひげは生えてこないと思っている人もいますが、毛を生成するための司令塔、「毛乳頭」が存在する限りはひげは作り出されます。
また、毛乳頭は、毛穴の最下底で毛細血管と複雑に繋がっているので、毛抜きで取り除くことはできません。
毛の抜けた毛穴から、再び毛が生えてくるのは、雑菌の侵入や余分な皮脂が入ることを防ぐためでもあるのです。
では、ひげを抜いたときに、たまに毛根に付着してくる黒い液体状のようなものは、一体何なのでしょうか?
気になるその正体を、ご説明していきましょう。
毛根にくっ付いた黒い液体状のものとは?毛を抜くメカニズムとは
皆さんがひげを抜くとき、毛根から全て引っこ抜けているような、そんなイメージが強いのではないでしょうか。
ですが実際、細かく言えば、毛抜きで引っ張った毛は毛乳頭から切り離され、基本的に「毛根鞘(もうこんしょう)」という透明のゼリーのようなものが付着しながら抜けます。
この「毛根鞘」は、先ほどご説明した、毛根をぐるりと囲んでいる「毛包」の一部で、毛根と皮膚を繋ぎ留める役割をしています。
これが、付着してくる透明の塊の正体なのですね。
ちなみに、毛包の下には毛母細胞があるので、つまり、毛根鞘の下に毛が生成される細胞があることになりますね。
では、たまに付着している、黒いインクのようなものは何なのでしょうか?
結論から言うと、メラニン色素が働いている状態、つまり、発毛途中の毛であることを意味します。
したがって、まだ成長段階のひげが抜かれたときには、「メラニン色素」である、黒い液体状のものが付着していることになります。
これで、毛根に付着している黒い液体物の正体が分かりましたね。
毛抜きでひげを抜く場合、いずれにしても、毛乳頭が一緒に抜けることはないので、毛が生えてこなくなることもないのです。
ではそもそもの話、ひげを毛抜きで抜く行為は、ひげや皮膚にとって良いことなのでしょうか?
黒い毛根まですっぽり抜ける!ひげを抜くことは良いこと?
これまでのご説明で、ひげの毛根の仕組みや、毛根に付いた黒い液体の正体など、ご理解いただけたと思います。
では次に、ひげを抜く行為に焦点を当ててみましょう。
男性の中には、ひげの剃り跡が気になったり、ひげを抜けば生えてこなくなるという理由で、日頃からひげを抜いている方もいるかと思います。
また、中にはただ楽しいからという理由で、ひげを引っこ抜く癖がついている方も少なくありません。
実際、ひげを抜くことで青髭のような剃り跡も残りませんし、気持ち的にもスッキリしますよね。
しかしながら、先にも述べた通り、ひげを抜いたところで、毛の生成元である毛乳頭がなくなるわけではありませんので、新しいひげはどんどん生えてきます。
逆に、ひげを抜く行為自体には、一時的に見栄えが良くなる以外にメリットはなく、多くの皮膚トラブルの原因になりかねないリスクの方が大きいです。
したがって、日常的にひげを抜くことは控えられると良いでしょう。
では、ひげを抜くことで、皮膚に与えてしまうダメージやトラブルなどを、詳しくご説明していきます。
ひげを抜くのはやめよう!起こりうる皮膚への影響
早速、ひげを抜くことで引き起こされるトラブルについて、ご説明していきましょう。
・埋没毛
皮膚の内部に毛が埋もれて、出てこれない状態です。
ひげは1本1本が丈夫なため、無理やり抜いてしまうと、皮膚や毛穴に傷ができてしまいます。
傷ついた毛穴は、それを治すためにカサブタのような膜を作り出しますが、傷を治すはずの膜が毛穴を塞ぐ原因になり、毛は皮膚の内部に閉じ込められてしまいます。
その結果、毛が皮膚下で成長する「埋没毛」になってしまうのです。
・毛嚢炎(もうのうえん)や炎症
ニキビのようにも見える毛嚢炎は、大半が赤い小さなボツボツができた状態です。
症状が軽い場合、痒みや痛みなどの炎症はありませんが、症状が重くなってくると、発熱や痛みが生じてきます。
原因としては、ひげを抜いた際に毛包に刺激が加わったことで、その弱った部分に細菌が侵入してしまい、最終的には、毛根周辺に炎症や化膿の症状が生じてきます。
・色素沈着
ひげを抜いた部分に、黒いシミのようなものができてしまう状態です。
この色素沈着には、「メラニン色素」が関わっており、ひげを抜いたことによる皮膚や毛穴のダメージや、そこで引き起こされた炎症を抑えようと、色素細胞(メラノサイト)が盛んに作り出されます。
健康的な皮膚であれば、肌のターンオーバー(肌の新陳代謝)により、古い角質と共に余分なメラニンも剥がれてしまうので、色素沈着することはありませんが、ターンオーバーが乱れることで、余分なメラニンが肌に溜まっていき、沈着してしまいます。
以上が、毛を抜くことによる、主な皮膚トラブルです。
しかしながら、上記のような皮膚トラブルの原因になると分かっていても、ひげ抜きがやめられない人も少なくありません。
肌トラブルに繋がるひげ抜き!分かっていてもやめられない理由
ひげを抜くことが皮膚や肌トラブルの原因だと分かっていても、日常的にひげ抜くことが習慣付いている場合、もしかしたら、「抜毛症」という病気を患っているかもしれません。
抜毛症とは、ひげやまつ毛、髪の毛などの全身の体毛が対象で、ごっそりと脱毛の跡ができてしまう、異常な量の毛を引き抜いてしまう精神疾患です。
抜毛症を罹患する大半の人は、日々の仕事や生活をしている上で、精神的に極度なストレスに晒されていることが見受けられ、そのストレスをぶつけるのが、自分自身になっているのです。
また、不安や緊張を取り除き、自分を安心させるために抜毛してしまうこともあります。
抜毛の症状には人それぞれありますが、抜毛には主に二つのやり方があります。
①毛を抜いた際に、開放感や快感などの気持ち良さを感じることで、ストレスを紛らわそうと、継続的にその自覚して行うもの
②何気なく過ごしている生活の中で、意識せずに抜毛するもの
大半の抜毛症患者は、どちらのやり方も日常的にしている場合が多いです。
ひげの毛根に透明な塊がついていようが、黒い液体が付いていようが、そんなことに疑問を持つことなく抜毛にハマっている人がいれば、要注意が必要です。
しかしながら、どうしてもひげを抜きたい方もいるかと思います。
そこで、そんな方々に、ひげの正しい抜き方とケアの方法をご紹介していきましょう。
どうしてもひげを抜きたい方に!上手なひげの抜き方
先にご説明した通り、ひげを抜くことは多くの肌トラブルに繋がるため、いずれにしても、ひげを抜く行為はオススメはしません。
それを承知の上で、どうしても抜きたい方に、肌へのダメージをできるだけ軽減させる、優しい抜き方とその後のケアをご紹介します。
①ひげを抜く前に、温めたタオルで皮膚を温め、毛穴を広げます。
②ひげを抜くときは、がっちり挟めるピンセットなどを用意し、決して手で抜かないようにしてください。
また、ピンセットは消毒しておくとベターです。
③毛の生えている方向、向きを確認し、それに合わせてゆっくりと引き抜いていきます。
④抜毛後は、冷たい水や保冷剤などで、皮膚を冷やすことがポイントです。
皮膚を冷やすことで、皮膚の炎症を抑えるのに効果的です。
⑤しっかりと冷やした後は、ローションなどで肌の保湿を行ってください。
以上のことを心がければ、少なくとも何もせずに抜くときよりは、皮膚へのダメージを軽減できるはずです。
確かに、抜いたひげの毛根に透明の塊が付着していたり、黒い液体物が付いているのを見るのは面白いかもしれませんが、肌トラブルを避けるためには、極力ひげを抜く行為はやめたほうが良いということを、忘れないでくださいね。
ひげを抜くのはできるだけやめよう
ひげを抜く行為には、様々な皮膚トラブルやリスクが伴い、ひげや肌の成長の妨げになりかねません。
確かに、ひげを剃った直後と比較すれば、見栄えは断然抜いたほうが綺麗でしょう。
しかし、肌のことを考慮すれば、ひげ抜きは控えた方が良いと言えます。
どうしても抜く場合には、毛の正しい抜き方や、その後のケアなど、しっかりと熟知した上で、ひげ抜きを行ってくださいね。