歯並びで悩んでいるかたの多くが、子供に遺伝しないか気になるところですよね。
父方も母方も歯並びが悪いと、どっちに似るのかそわそわしてしまうものです。
今回は、歯並びと遺伝について、お話しします。
遺伝のほかにも、歯並びが悪くなる習慣があるので、確認してみてくださいね。
歯並びは良い?悪い?どっちなのかチェックしてみよう
歯並びは、はたして遺伝するのでしょうか。
この疑問の前に、歯並びが悪いとされる「不正咬合」についてお伝えします。
歯と歯の噛み合わせが合っていなかったり、ガタガタと並んでいる、隙間が空いて並んでいることを、「不正咬合」と呼びます。
不正咬合にはさまざまなタイプがありますので、歯並びが良いのか悪いのか、どっちなのか分からないかたも確認してみてください。
▼上顎前突(じょうがくぜんとつ)
「出っ歯」ともいわれていて、上の前歯が下の前歯よりも突き出ている状態です。
原因としては、上の歯だけが突き出ている場合と、上顎の骨のズレによるケースがあるようです。
▼反対咬合(はんたいこうごう)
上の前歯よりも下の前歯が前に出ている状態で、「受け口」とも呼ばれています。
前歯だけズレているか、顎の骨のズレが原因です。
▼叢生(そうせい)
デコボコとしていて、歯が重なっている状態です。
「八重歯」や「乱杭歯」ともいわれています。
叢生になる原因としては、顎が小さく、歯が並びきらないことが考えられます。
父方か母方どっちかの遺伝や幼少期の癖でなる不正咬合もある
不正咬合タイプの続きです。
▼空隙歯列(くうげきしれつ)
歯と歯の間に隙間が見られ、いわゆる「すきっ歯」と呼ばれるケースです。
すきっ歯の原因としては、歯が小さかったり、歯の本数が少ないことが考えられます。
▼交叉咬合(こうさこうごう)
数本の歯の噛み合わせがズレていることから、「強く噛めない」「食いしばりができない」といった問題の出るタイプです。
▼過蓋咬合(かがいこうごう)
上の歯が下の歯に覆いかぶさるようになっているため、歯と歯が擦れて、すり減ってしまうことがあるようです。
▼開咬(かいこう)
奥歯に合わせて口を閉じようとしても、閉じることが困難な歯並びです。
「オープンバイト」ともいわれています。
開咬となる原因は、父方か母方どっちかの顎の骨格の遺伝、幼少期の指しゃぶりなどの癖が関わっているとされています。
▼正中の不一致(せいちゅうのふいっち)
上の歯と下の歯の中心がズレている状態です。
顎の変形や、デコボコした歯などが原因となるようです。
結局のところ歯並びは遺伝する?しない?どっちなの?
歯並びが悪いとされる、不正咬合のタイプについて解説しました。
なかには、顎の骨格の遺伝とされるタイプもあり、子供に遺伝しないか気になるところですよね。
ここからは、歯並びと遺伝について詳しくお話ししましょう。
両親から子供への遺伝としては、体型や骨格、免疫力などといったことから、肌質や目の色、髪の色などのさまざまな影響を受けます。
このことから、父方か母方どっちかの歯の大きさや顎の大きさが遺伝することも例外ではないのです。
歯並びの良し悪しは、歯や顎の大きさと、唇や舌の力が関わってくるため、「歯並びの遺伝」について語るのであれば、遺伝も一要因という見解になるのではないでしょうか。
歯の大きさや骨格が似ていることから歯並びも似る可能性は高くなりますが、歯並びの遺伝の影響は3割程度ともいわれています。
決して、遺伝だけで歯並びが決まることではないのです。
では、残りの7割は何が原因なのか、次項でお話しします。
大きな要因は遺伝ではなく生活習慣
歯並びの遺伝は、両親から子供への遺伝は3割程度であるとお話ししました。
3割程度では、大きく関わっているともいえませんよね。
残りの7割、つまり歯並びに影響する大きな要因は、ずばり生活習慣にあります。
父方も母方のどっちも歯並びがよくても、生活習慣によっては歯並びが悪くなってしまうということです。
では、歯並びに悪影響を及ぼす生活習慣を見てみましょう。
■癖
幼少期の指しゃぶりの癖は前歯の位置がズレて、噛み合わせに影響してきます。
また、食事をするときに片方だけで噛む癖があると骨格が変形し、歯並びに大きく関わってきます。
そして、頬杖をつく姿勢も顎の骨格のゆがみとなるため、避けてください。
子供の癖はすぐに直るものではありませんが、将来の歯並びのために根気強く直していきましょう。
■姿勢
顎周りを圧迫するようなうつ伏せ寝や、横向きで寝ていると、骨格の変形によって将来歯並びが悪くなるリスクが上がります。
習慣となっている場合は、見直しましょう。
■虫歯
乳歯が虫歯になってしまうと、歯を抜くことになるかもしれません。
しかし、安易な気持ちで抜いてしまうと歯の間隔が生じてしまい、永久歯のズレとなり歯並びに影響してきます。
虫歯にならないようにケアすることが大切ですが、乳歯を抜くことに関しては慎重になりましょう。
歯並びを良くするためには顎の成長が大切
生活習慣のほかに、もう一点歯並びに影響するのが食生活です。
モノを噛んだとき、歯から歯槽骨、歯槽骨から顎へと刺激が伝わり、顎の成長を促します。
ところが、根菜類といった顎を使う野菜の摂取の不足や、柔らかい食べ物ばかり食べていると顎に刺激がいきません。
顎の骨の成長が十分でないと、歯並びに影響してしまうのです。
とくに、乳歯よりも永久歯のほうが大きくなるため、この時期に顎が成長していないと歯が綺麗に揃うためのスペースが確保できなくなってしまいます。
歯並びが悪い場合、噛み合わせが悪くなり、よく噛まずに食べ物を飲み込んでしまいがちです。
すると胃や腸に負担がかかるほか、噛む回数が少なくなると脳は血行不良となり、知能や運動能力の発達に影響してきます。
また、片方だけで噛んでいたりすると、顎にかかる力が分散して顎関節症へのリスクにもつながりかねないのです。
両親のどっちに歯並びが遺伝するのか気になるところですが、こうした食事の内容や食事の仕方に注目することが大切なのですね。
歯並びの矯正治療はいつから?
生活習慣や食生活に気を付けていても、遺伝によるものは避けようがありません。
しかし、歯並びが悪いままでは、日常生活に支障をきたす場合もありますよね。
最後に、歯の矯正治療についてお話しします。
歯並びの矯正治療ですが、「できるだけ早いほうがいい」という意見から、「一概に早いほうがいいとはいえない」などと、意見が分かれるところです。
どっちが正解なのか悩むところですが、これまでお話ししてきたように、遺伝による先天的なケースと、生活習慣が影響した後天的なケースがあります。
そのため、どういった状況であるかで、治療するにふさわしい時期も違います。
先天的なケースであると、矯正治療では解決しない場合もあるのです。
出っ歯や受け口といった遺伝性の歯並びであるときは、早期治療を行ってから矯正治療へと移ります。
一方、後天的なケースの場合は、歯並びが原因で体の成長を阻害してしまうこともあるため、早期発見と早めの治療が求められます。
乳歯で歯並びが悪いと永久歯の生え方も悪くなるため、4歳から6歳の間に治したほうがいいこともあるのです。
いずれにしても、素人では判断できない問題なので、歯医者にかかり、定期的に検診を行うことをおすすめします。
毎日の歯磨きも、丁寧に行いましょうね。
早期に発見をして治療を!
親から子への遺伝は少なからず影響し、大きく関わってくるのは生活習慣や食生活であることがおわかりいただけたでしょうか。
歯並びは美的なこと以外にも、体の成長に大きく関わってきます。
どちらにしても、両親や周りの大人が気をつけて子供の様子を見てあげることが大切です。