「舌がヒリヒリ痛い」、「舌に赤い斑点ができている」など舌の悩みをお持ちの方はいないでしょうか?
舌のヒリヒリした何ともいえない痛みは、働く男性など仕事に支障をきたしてしまう場合もあり、放って置けない症状です。
また舌は、食事をするにも会話をするにも、とても大事な役割を持つ器官です。
こちらでは、舌がヒリヒリ痛む場合や赤い斑点が見られる場合の、その原因と対処法をご説明します。
舌がヒリヒリ痛んだり赤い斑点ができる「外的要因」その1
舌がヒリヒリ痛んだり、赤い斑点が見られる原因にはどんなものがあるのでしょう。
舌が痛んだり荒れる原因を、大きく2つに分けると、「外的要因」と「内的要因(疾患)」に分けられます。
まずは、外界からの刺激による「外的要因」についてご説明します。
【外的要因】
●義歯や被せ物から受ける刺激が原因のもの
義歯や被せ物、入れ歯などが口内に合っておらず、舌に当たるなどの刺激を受けている場合は、舌に赤い斑点ができたり、時には出血が見られ、痛みを伴う場合があります。
疲れや免疫力が低下している時に起こりやすいといわれ、このときにできる口内炎を「カタル性口内炎」といいます。
●外傷が原因のもの
舌を噛んでしまった時や、熱いものを飲食して口内を「やけど」してしまった場合は、舌が赤く腫れ、ヒリヒリした痛みが出ることがあります。
この他に、さらに考えられる外的要因について、次項でご説明します。
舌がヒリヒリ痛んだり赤い斑点ができる「外的要因」その2
●口内の汚れが原因のもの
口の中は、歯磨きや手入れをしないと、細菌などがすぐに増えやすい場所です。
食事後そのまま放置すると、舌の表面に食べカスや細菌が溜まり「舌苔」が増加します。
舌苔は正常な舌にも見られ、普通は舌先から1cmくらいから奥にうっすらと付着しますが、口のお手入れをせずにこの舌苔を放置すると、量が増えて細菌が増殖し、炎症を起こすことがあります。
細菌が原因で舌に炎症が起こると、ヒリヒリした痛みや赤みなどを伴うことがあります。
●ガルバニー電流
口内に、2種類以上の金属性の詰め物をしていると、唾液を導体に微弱な電流が流れることがあり、これを「ガルバニー電流」と呼びます。
人によっては、この電流でアレルギー反応を起こし、舌炎(ぜつえん)を引き起こすこともあります。
このように、外からの刺激「外的要因」が舌のヒリヒリした痛みや赤い斑点ができる原因になる事もあるのです。
舌がヒリヒリ痛んだり赤い斑点ができる「内的要因(疾患)」その1
次に「内的要因(疾患)」についてご説明します。
舌は、体調の変化が現れやすい場所で「舌は健康のバロメーター」ともいわれ、その状態から全身の状態を図ることができます。
舌にヒリヒリした痛みや赤い斑点が見られる場合、体に何かしらの異常が関係していると考えられます。
【内的要因】
●アフタ性口内炎
栄養状態が悪い場合や、ストレス、寝不足など生活習慣の乱れで、免疫力が低下している時に起こりやすい炎症です。
ビタミンB1やビタミンB2不足もこの原因となります。
初期の炎症部分は、まず痛みを伴う赤い斑点や発疹ができ、その後白っぽい窪みのある潰瘍になります。
●ヘルペス性歯肉口内炎
ヘルペスウイルスの感染により発症し、風邪を引いたような症状と口内のヒリヒリした痛みを伴います。
赤い斑点というより小さな水泡ができてすぐつぶれるため、赤みの伴うびらんが形成され、強い痛みや口臭を発生させます。
子供に多いですが大人が発症する場合、症状は比較的軽度ですが、舌や口蓋、歯肉などにもできるため、不快感があります。
さらに他の「内定要因」で起こる舌の症状を次項でご説明します。
舌がヒリヒリ痛んだり赤い斑点ができる「内的要因(疾患)」その2
●ドライマウス
ドライマウスとは、唾液量が少なくなり口の中が乾燥しネバネバする症状です。
ドライマウスが進行すると、口内の衛生状態が悪くなり、炎症や吹き出物ができることがあります。
合併症としてよく見られるのが、舌の表面がザラザラして腫れたり赤い斑点ができヒリヒリした痛みを伴う紅斑性カンジダ症です。
免疫力が低下しているときなど起こりやすく、口内清掃や薬により改善できます。
●金属アレルギー
歯の詰め物が原因で、舌に赤い斑点がみられたり、逆に白くなる炎症が起こる場合もあります。
症状はすぐに発症するものだけでなく、時間が経ってから発症することもあります。
痛みや赤みなどの異常が見られた場合には、口腔外科を受診し、原因となる金属を除去してセラミックやプラスチックなどのアレルギーのない素材に代えて貰いましょう。
●口腔アレルギー症候群
フルーツやナッツ類を食べた後15分以内に、舌の痛みや赤い斑点、かゆみや腫れなど現れ、また唇の腫れなども起こった場合には、口腔アレルギー症候群の可能性があります。
口腔アレルギー症候群の症状は、多くは食後しばらくすると自然に回復しますが、中にはアナフィラキシーショックを起こし、呼吸症状に異常をきたすこともあるので、注意が必要です。
舌がヒリヒリ痛むことに特化した症状
前項でご説明してきたように、舌がヒリヒリ痛んだり、赤い斑点が見られる場合には、様々な原因が考えられることが分かります。
この他に、舌に長期にわたりヒリヒリした痛みが続き、悩まされている人が多い症状があります。
見た目には異常がなく、持続的な痛みがある場合には、次のようなものが考えられます。
●舌痛症
口内の舌にのみ限定的にヒリヒリした痛みが続く症状です。
赤い斑点など、舌の表面の外見には特に異常がみられません。
原因不明の場合が多く、原因療法は存在しませんが、痛みや不快感が続く場合にはまず口腔外科を受診することをおすすめします。
口腔外科で異常が発見できない場合には、精神面が原因であることも考えられるため、心療内科の受診も検討し、対症療法の相談をしましょう。
●口腔灼熱症候群(こうくうしゃくねつしょうこうぐん)
ヒリヒリした痛みとともに、灼熱感が舌を含めた口全体に起こります。
これも原因は解明されていませんが、舌に特に強い痛みを感じ、口内を湿った状態に保つと灼熱感が緩和するといわれています。
舌痛症と同様に病院を受診し、対症療法の薬を処方してもらい経過をみる治療となります。
このように、まだ原因は解明されていませんが、肉体的、精神的な体の不調が舌の痛みとして現れる場合もあるのです。
舌の状態で自分の健康状態を知る「ベロ」メーター!
舌は体の健康状態を顕著に表す器官なので、舌の観察はとても大事です。
ここでは、舌の様々な状態をご紹介します。
●健康な舌
健康な舌は、うっすらと白く淡い赤色をしています。
全体が真っ赤ではなく、淵のみ赤く全体的に薄く白い状態で、張りや潤いがある舌が理想的です。
●薄白苔舌、厚白苔舌
舌が肥大していて白い舌苔が厚めに生え、舌の周囲に赤い斑点がみられます。
薄白苔舌は新陳代謝が悪く冷え性の人、貧弱体質で風邪を引きやすい人によくみられ、厚白苔舌は風邪気味や自律神経のバランスが崩れ、不眠や不安症の疾患をもつ人によくみられます。
●地図舌
舌苔がところどころ剥がれ、地図のようなまだら模様がみられます。
胃腸が弱い人、アレルギー体質やビタミンやタンパク質が欠乏している人によくみられます。
●木苺舌
舌が赤く、先端部分に赤い斑点がみられ苺に見た目が似ています。
不眠や不安症の疾患を持つ人、自律神経失調症、更年期障害などの場合にみられます。
●青紫裂紋舌、暗紅舌滑苔
青紫裂紋舌は舌が青紫色、暗紅舌滑苔は舌が暗紅色で、どちらも血行障害の瘀血(おけつ)現象を示し、前者は神経衰弱の人、後者は喘息など気管支の疾患の人に多くみられます。
●歯痕黄苔舌、紅舌黄膩苔
どちらも舌の中央部が黄色くなり、慢性胃炎など消化器の疾患の人に多くみられます。
これらを参考に、ヒリヒリ痛むなどの異常がない時でも、自分の舌はどのタイプかチェックが必要です。
舌の異常は身体からの大切なサイン!
舌はその状態から身体全体の健康状態を知ることができ、毎日のチェックも簡単に行える器官です。
舌に痛みや赤みなど、いつもと違う異常がでた場合には、その原因をつきとめ速やかに対処することをおすすめします。
経過をみても回復しない場合には病院を受診し、適切な治療で健康な舌と身体を取り戻しましょう。
舌の症状や状態で、自分に当てはまるものをみつけた人は、ぜひしっかり全身状態のチェックをしてみてください。