日常生活で、毎日ごく当たり前に使用している歯磨き粉。
ところで、この歯磨き粉が一体何からできているのかご存知ですか?
また、歯磨き粉には歯を磨く研磨剤が含まれていることをご存知でしたか?
歯磨き粉の中身、意外と知らないですよね。
では、歯磨き粉・研磨剤の成分には、どのようなものがあるかさっそく見ていきましょう。
そもそも歯磨き粉の成分とは?
普段、何気なく使っている日用品の歯磨き粉。
その歯磨き粉は、一体何からできているのでしょうか。
まず、歯磨き粉には主に2種類の成分があり、それは「基本成分」と「薬用成分」に分かれています。
では、基本成分から見ていきましょう。
①清掃剤
無水ケイ酸・リン酸水素カルシウム・水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム
この清掃剤が、いわゆる歯磨き粉の研磨剤と呼ばれる成分です。
歯の表面の汚れを落とします。
②発泡剤
ラウリル硫酸ナトリウム
このラウリル硫酸ナトリウムが、歯磨き粉を泡立て、磨き落とされた歯垢の再付着を防ぎます。
歯磨き粉が泡立つことにより、歯磨き粉を口の中に拡散させます。
③湿潤剤
グリセリン・ソルビトール・プロピレングリコール
歯磨き粉に湿り気を与えます。
④粘着剤
アルギン酸ナトリウム・カルボキシメチルセルロース・カラギーナン
歯磨き粉に含まれる様々な成分を粘着させ、歯磨き粉に粘りを出します。
⑤香味剤
サッカリンナトリウム・メントール
歯磨き粉に爽やかな香りを与えます。
⑥保存料
安息香酸ナトリウム
歯磨き粉の品質を保ちます。
では、次に薬用成分を見ていきましょう。
薬用成分は、歯磨き粉の種類によっては含まれていない場合もあります。
①虫歯の予防(フッ化物)
モノフルオロリン酸ナトリウム・フッ化ナトリウム
歯の再石灰化を促進します。
②殺菌剤
トリクロサン・塩化セチルピリジニウム
虫歯菌や歯周病菌を殺菌します。
薬用成分には、他にも酵素や抗炎症剤などが含まれている事があります。
この薬用成分には、基本的に虫歯予防に関する薬剤が使われているようです。
これが、歯磨き粉の基本成分と薬用成分の2つです。
歯磨き粉は、この2種類の基本成分と薬用成分を混ぜ合わせて作られています。
では、その歯磨き粉の研磨剤の成分には、どのような特徴があるか見ていきましょう。
歯磨き粉の研磨剤の成分とは?
歯磨き粉の研磨剤の成分には、主に4つの成分が使われています。
では、その4つの成分を見ていくことにしましょう。
実は、一般的に食べられている食品の中に、その研磨剤が含まれていたりします。
①リン酸水素カルシウム
リン酸水素カルシウムは、歯磨き粉の中に、非常に細かい粒となって存在しています。
この細かいリン酸水素カルシウムが、歯の歯垢や汚れなどを落としてくれます。
カルシウムには研磨作用があるため、この物質が研磨剤として使われています。
さらに、リン酸水素カルシウムには、歯に吸収され、歯の再石灰化をうながす作用もあります。
②炭酸カルシウム
この炭酸カルシウムが、食品にも使われている物質です。
パンやハム、ソーセージ、お菓子などの「膨張剤」として使われています。
食材だけではなく、医薬品としても使用されています。
炭酸カルシウムは、リン酸水素カルシウムと同様に、研磨作用があり歯の汚れを落とします。
③水酸化アルミニウム
この水酸化アルミニウムも、研磨作用があるため、歯磨き粉に使われています。
水酸化アルミニウムは、ベーキングパウダーに含まれている場合もあります。
④無水ケイ酸
無水ケイ酸は、歯にほとんどダメージを与えない研磨剤です。
さらに、歯のステイン(着色よごれ)除去も可能のようです。
この無水ケイ酸にも、やはり研磨作用があります。
医薬品や化粧品にも使われています。
この4つの成分が、歯磨き粉に含まれている研磨剤です。
食品や医薬品にも使われているので、たとえ間違って飲み込んでも少量であれば大丈夫なものばかりです。
おそらく、ほとんどの歯磨き粉に、これらの研磨剤が使用されているのではないでしょうか。
では次に、この研磨剤を使った時の利点を見ていきましょう。
歯磨き粉の研磨剤の利点とは?
歯磨き粉の研磨剤の成分には、歯の歯垢や汚れを落とす作用があります。
そして、研磨剤には歯のステインを落とす効果もあります。
ステインとは、コーヒーやワインのポリフェノールが原因で、歯に付いてしまう黄色や茶色の着色汚れの事です。
このステイン、なかなか落ちにくい着色汚れなので、歯科医院で落としてもらう人も多いのではないでしょうか。
特に、コーヒーをよく飲む人や、愛煙家の人は、すぐにステインができてしまうようです。
ただ、ほとんどの人は、研磨剤で簡単なステイン汚れは落とせているのではないでしょうか。
そして、研磨剤のもう1つの利点、歯のホワイトニングです。
実は、ホワイトニングを売りにしている歯磨き粉には、研磨剤が含まれている事が多いようです。
これは、研磨剤で歯を磨くと歯垢・汚れ・ステインが落ち、歯が元の白さを取り戻す、という事でしょう。
それだけ、研磨剤を使えば、歯をきれいにする効果が期待できるようです。
この、歯のステイン落とし、歯垢落とし、ホワイトニングが歯磨き粉の研磨剤の利点ですね。
では逆に、研磨剤には、どのような欠点があるのでしょうか?
歯磨き粉の研磨剤の欠点とは?
歯磨き粉の研磨剤の成分には、歯の汚れを落とし、歯のホワイトニングも期待できる利点があります。
では、歯磨き粉の研磨剤には、どのような欠点があるのでしょうか?
まず、歯のエナメル質と研磨剤についてです。
これは、人の歯の表面にあるエナメル質が、歯磨き粉の研磨剤で、傷つけられてしまう事があるようです。
エナメル質が傷つき、削れてしまうと、歯の神経に刺激が伝わりやすくなってしまい、知覚過敏になる可能性があります。
しかも、傷ついたエナメル質は、汚れが溜まりやすくなる状態になってしまうようです。
次に、歯磨き粉の研磨剤が、歯の歯周ポケットに入り込み、そこに研磨剤が詰まってしまうパターンです。
研磨剤の中には、非常に細かい粒になっている研磨剤もあり、その細かい研磨剤がそのまま歯周ポケットにとどまってしまうのです。
そして、研磨剤の使用による歯茎(はぐき)の炎症です。
歯磨きをする時、歯だけを狙って磨ける人は、まず、ほとんどいないでしょう。
どうしても、歯茎も磨いてしまうはずです。
ところが、歯磨き粉の研磨剤で歯茎を強く、もしくは磨きすぎてしまい、炎症を起こす場合があるようです。
研磨剤には、歯の汚れを落とす目的があるため、どうしても歯茎に何らかのダメージが出てしまう場合があるようですね。
以上、この3つが、歯磨き粉の研磨剤の欠点です。
エナメル質の損傷、歯周ポケットに研磨剤が溜まる、研磨剤による歯茎へのダメージの3つですね。
歯磨き粉の研磨剤には、確かに利点もありますが、研磨剤の性質上、どうしても欠点も現れてしまいます。
では、歯磨き粉の研磨剤は、使わなくても歯を磨けるのでしょうか?
歯ブラシだけでも、歯磨きは出来るのでしょうか?
見ていきましょう。
歯磨きに研磨剤の入った歯磨き粉は必要ない?
歯磨き粉には研磨剤だけではなく、虫歯予防の薬剤や、爽やかな香りを出す香料、泡立ちを促進させる発泡剤などが含まれています。
歯磨き粉の成分にはそれぞれの役割があり、基本的には、歯磨きを手助けする働きがあります。
しかし、歯磨き粉は使わなくても歯を清潔に保てるとも言われています。
歯磨き粉を使わない歯磨きの場合、最も重要な事は「しっかりと汚れを落とすブラッシング」のようです。
このブラッシングは、口の中をすみずみまで磨きつつ、あまり力を加えず、比較的、歯を優しく磨くブラッシング法です。
歯磨き粉を使わなくても、このブラッシングがしっかりと出来ていれば、歯の汚れは落とせるようですね。
そして、歯磨き粉に含まれる「香料」が、実は歯磨き粉の弱点になっているのです。
この香料、主にメントールが使われていますが、このメントールが口の中で清涼感を出してしまい、歯磨きが中途半端になる可能性があります。
まだ磨けていない場所があるのに、メントールの爽やかな清涼感が、歯をしっかりと磨いたような気分にさせてしまうのです。
ミント味のガムを噛んだ時や、ハッカ味の飴をなめた時と同じ、ミント特有の爽快感ですね。
このように、歯磨き粉を使っているのに、きちんと磨けていない状況になる事もあるようです。
歯磨き粉は、使っている人が歯磨きしやすいように作られていますが、それが逆効果になる時もあります。
値段が高い、特殊な薬用成分が含まれている歯磨き粉を使ったのに、ほとんど効き目がなかったというような場合もありますね。
このような経験をした人が、おそらく、歯磨き粉を使わない歯磨きを実践している可能性もあるでしょう。
歯磨き粉にはそれなりの効果を期待できますが、歯磨き粉を使わなくても歯をきちんと磨けてしまいます。
では、歯磨き粉をどうやって、何を基準に選べばいいのでしょうか?
歯磨き粉の研磨剤の成分を確認してみましょう
ここまで、歯磨き粉の研磨剤の成分や、研磨剤の利点、欠点、歯磨き粉を使わない歯磨きの方法をそれぞれ見てきました。
日常生活で使われる歯磨き粉の研磨剤の特徴や種類が、お分かりいただけたのではないでしょうか。
では実際に、どのようにして歯磨き粉を選べばいいのでしょう?
まず、研磨剤についてです。
これまで、研磨剤の入った歯磨き粉で、何もトラブルが出ていない人は、そのままお使い頂いても大丈夫でしょう。
ただ、最近では、イオンや分解酵素を使ったホワイトニング用の歯磨き粉が販売されています。
研磨剤が入っていないので、歯が削れる事もありません。
このような、研磨剤が不使用の歯磨き粉も段々と市場に登場しているようです。
さらに、歯磨き粉を泡立たせる発泡剤や、香料のメントールを使わない歯磨き粉もあります。
これは、発泡剤やメントールで歯磨きが終わった気分になりやすい状況を防いでくれる歯磨き粉ですね。
そして、合成香料や合成着色料、添加物を全く使っていない歯磨き粉もあります。
人工の化合物に不安を感じる人にとっては、使いやすい歯磨き粉でしょう。
このように、様々な種類の歯磨き粉が数多く販売されています。
この中から歯磨き粉の成分を確認し、自分に合った歯磨き粉、気に入った歯磨き粉を選び出しましょう。
あまりにも種類がありすぎて選ぶのが大変だと思う人は、今使っている歯磨き粉をお使い頂いても大丈夫です。
自分のその時の歯の状態を調べ、その上で歯に合った歯磨き粉に変えてもいいでしょう。
歯磨き粉は、成分をしっかり確認して、きちんと用法を守ればしっかりと汚れを落としてくれるはずです。
研磨剤が入っている歯磨き粉でも、正しい使い方で歯垢や汚れを落とせます。
今、ご使用の歯磨き粉、そして、今から使おうとしている新しい歯磨き粉の成分を、今一度調べてみてはいかがでしょうか。
歯磨き粉の成分を見てみよう
歯磨き粉のパッケージに書かれてある成分表には、分かりにくい化学物質が表記されています。
これを見ただけで、ほとんどの人が嫌気を感じるようですね。
ですが、中身は、研磨剤や発泡剤、殺菌剤など、簡単なものばかりです。
歯磨き粉に使われている成分を調べて、虫歯予防に役立てれば、きれいな歯を保てるのではないでしょうか。
歯ブラシだけではなく、歯磨き粉を選ぶ事も非常に重要ですね。