歯磨き粉に含まれているフッ素!本当に危険な成分なのか?

現在市販されている、大半の歯磨き粉にはフッ素成分が含まれています。

また、歯科医院では、フッ素が虫歯予防に効果的なことから、フッ素塗布の治療が推奨されています

しかし、インターネット上などでは、「フッ素塗布は危険」「フッ素入り歯磨き粉はやめるべき」といった、フッ素に対する危険性が問われています。

そこで、この記事では、フッ素に関する正しい知識から、その虫歯予防の効果性などについてご説明していきます。

歯磨き粉のフッ素は危険な成分?フッ素とフッ化物について

ネット上でフッ素について検索をすると、「フッ素は危険!」といったセンセーショナルな多くの情報が流れています。

私達が普段使っている歯磨き粉にも、ほとんどの場合はフッ素成分が含まれているため、それに対する懸念が後を絶ちません。

そもそも、フッ素とはどういったものなのでしょうか?

フッ素とは、原子番号9の元素名で、フッ化物(化合物)という形で古来から存在しているものです。

私達が飲む水や食べ物にも、このフッ化物は含まれている成分ですから、もし直ちに危険であるならば、人類がここまで繁栄することもなかったでしょう。

ただし、フッ化物ではなく、単体のフッ素に関しては、極めて強い酸化作用を持つため、単体としてほとんど存在することはありません。

したがって、フッ素単体を摂取することは、現実的に考えにくいですが、人間にとってのフッ素単体は、猛毒に値するものです。

そのため、「フッ化物でも毒性があるのではないか」との懸念が生じ、フッ素の危険性が流布されることに至っています。

これについて念頭に置くべきことは、歯磨き粉に含まれたり、フッ素塗布として使用するものは、単体のフッ素とはまるで違う、フッ化物であるということです。

そもそも元素は、他の元素と化合することで、全く異なる化合物に変化するということです。

例えば、二酸化炭素が一酸化炭素に変化するように、そのモノはまるで違うのです。

ただ単に、「フッ素は危険だから」と鵜呑みにせずに、まずはその中身についてよく知ることが大切だと言えますね。

では、フッ素とフッ化物の違いが分かったところで、歯磨き粉に含まれるフッ素(フッ化物)の危険性についてご説明していきます。

歯磨き粉に含まれるフッ素成分は危険?その危険性について

前項では、単体のフッ素とフッ化物の違いについてご説明してきました。

では、フッ素成分が含まれた歯磨き粉や、フッ素塗布は、フッ化物であっても危険性はあるのでしょうか?

結論から言うと、使用上の注意さえ守っていれば、身体上の危険性はありません。

と言うのも、日本中毒情報センターによれば、フッ素中毒の基準は約5~10mg/kgとされています。

これは、体重20kgの6歳児が、歯磨き粉チューブ(950ppm 60g)1.7本をラッパ飲みをするようなもので、このような異常な摂取さえしなければ、中毒を起こすことはありません。

また、歯科治療で行われているフッ素塗布では、フッ化ナトリウムと呼ばれる、極めて安全性の高いフッ化物です。

このフッ素塗布に関しても、嘔吐や腹痛などのフッ素中毒の懸念がされていますが、これは、平均的な体重の乳児が、フッ素塗布のジェルを1度に3gほどを飲み込んだ場合に起こりうる症状です。

通常、歯科医院でのフッ素塗布では、3gのフッ素を使用することもないので、フッ素中毒の危険性はまずないと考えて良いでしょう。

ただ、見解によっては、歯科予防におけるフッ素に関して、危険性を訴える医師も少なからずいます。

そのため、歯磨き粉やフッ素塗布については、かかりつけの歯医者さんとよく相談し、納得した上で行うことが第一と言えます。

危険性はなし!歯科予防におけるフッ素成分のメリットを3つご紹介!

前項では、歯磨き粉に含まれたり、歯科治療で使用されているフッ素(フッ化物)成分は、現実的に中毒性は起こりえず、危険性がないことが分かりました。

では、歯科予防におけるフッ素(フッ化物)には、どのようなメリットがあるのか、フッ素塗布も含めて見ていきましょう。

①歯の再石灰化で初期虫歯を予防

私達が食事をする際、カルシウムやリン、ミネラルといった歯の成分は、食事による酸によって溶け出してしまいます。

しかし、唾液や歯磨きによる歯磨き粉成分によって、これを元に戻す「歯の再石灰化」が行われます。

さらに、フッ素塗布を行うことで、歯の再石灰化を促し、初期の虫歯を防ぐことが期待されています。

②丈夫な歯作り

再石灰化を促された歯は、更にフッ化物とエナメル質の成分が結び付くことによって、より丈夫な硬い歯に強化します。

歯が強くなることは、同時に歯が溶けてしまう虫歯予防にも繋がります。

③虫歯菌を弱める

フッ素には、虫歯菌が出す酸の量を抑制する働きがあり、酸によって歯が溶けるのを防ぐことができます。

以上が、フッ素の歯に対するメリットです。

フッ素が歯科予防に効果的である理由も、納得できますね。

では次に、フッ素を使った虫歯予防の方法について見ていきましょう。

歯磨き粉以外にも!フッ素を使った虫歯予防の方法は?

前項では、危険性のないフッ素(フッ化物)の効果性やメリットについて、ご説明してきました。

では、そんなフッ素では、どのような方法で虫歯予防ができるのでしょうか?

フッ素を使った虫歯予防の方法は、以下3つになります。

①フッ化物洗口

フッ化物が含まれた洗口液で、うがいを行います。

②フッ化物が配合された歯磨き粉

「フッ素成分入り歯磨き粉」で歯磨きを行います。

③フッ化物歯面塗布

歯の表面にフッ化物溶液を塗布するもので、いわゆる「フッ素塗布」です。

この塗布を行うのは、歯科医師と歯科衛生士だけに限られています。

また、フッ素塗布に関しては、基本的にまだ歯が未熟で、虫歯菌に弱い小さな子供に対して推奨される治療です。

しかし、唾液の分泌量が少ない方や、虫歯になりやすい大人の方に対しても、フッ素塗布の施術は行われています。

では続いて、フッ素塗布に関して、更に詳しくご説明していきます。

フッ素塗布はどのような方法で行われるの?

前項では、フッ素(フッ化物)成分を使った、虫歯の予防方法についてご説明してきました。

その中で、フッ素塗布が挙げられましたが、その方法や頻度について、更に詳しくご説明していきましょう。

・フッ素塗布の方法

まず、歯科医院で行うフッ素塗布の方法は、主に3通りあります。

①歯面塗布法

綿や歯ブラシにフッ素を付け、歯に1本ずつ塗布していく方法です。

②トレー法

フッ素を入れたマウスピース(トレー)を咥えることで、フッ素を歯へ浸透させる方法です。

咥える時間は、だいたい3~4分です。

③イオン法

歯面塗布法やトレー法にプラスして、極めて微量な電流を流すことで、フッ素をより浸透しやすくする、プラスアルファな方法です。

以上が、フッ素塗布の主な方法になりますが、歯科医院によっては行う方法は違ってきます。

また、この3つの方法は、子供だけでなく大人も受けることができる施術です。

・始める年齢

乳歯・永久歯に問わず、生えた直後に行うのが最も効果的なタイミングです。

まずは、下の前歯が生え始めたタイミングで定期的に歯科へ通い、上下の歯が生え揃ったらフッ素塗布を行うのがベターです。

また、かかりつけの医師と相談して決めるのも良いでしょう。

・行う頻度

歯科医院で行うフッ素塗布には、高濃度と低濃度の2つに分けられます。

より高い効果を得られるのは、高濃度のフッ素塗布ですが、時間の経過により効果は薄れていきます。

したがって、3~6ヶ月に1度の頻度が推奨されています。

以上が、歯科医院で受けることができるフッ素塗布です。

ただし、少なからずですが、歯科医院によっては歯磨き粉などのフッ素の危険性を懸念しているところもあり、フッ素塗布も行っていない場合もあります。

まずは、かかりつけの医院に相談してみましょう。

自宅でもできる!フッ素塗布の方法とは?

前項では、歯科医院で行える、危険性のないフッ素(フッ化物)塗布についてご説明してきました。

では次に、自宅でも行うことのできる、フッ素塗布の方法をご紹介していきます。

①フッ素入り歯磨き粉の使用

フッ素入り歯磨き粉を使用する際は、歯磨き後のゆすぎを軽く済ませることがポイントです。

現在市販されている歯磨き粉は、フッ素入りのものがほとんどですが、中には、フッ素が配合されていないものもあります。

「モノフルオロリン酸ナトリウム」「フッ化ナトリウム」の成分記載を確認し、歯磨き粉を選ぶのが良いでしょう。

②ジェルタイプの歯磨き剤

フッ素が配合されたジェルタイプは、歯磨き後の仕上げとして塗布します。

ジェルタイプなので、歯の表面から流れ落ちづらく、虫歯予防にも期待ができます。

歯科医院にも販売されているので、医師と相談して選ぶのがベターです。

③フッ素洗口液

手軽にできるフッ素洗口液は、就寝前に行うことがおすすめです。

フッ素洗口液の中でも、「コンクールF」というオーラルケアがおすすめでき、就持続性のある殺菌作用と抗ウイルス作用で歯周病菌や虫歯菌の増殖を軽減することができます。

以上が、自宅でも行えるフッ素塗布の方法です。

自宅でのフッ素塗布は、子供から大人まで気軽に行うことができるので、是非自宅でやってみましょう。

まずは正しい情報を探そう

歯科予防のフッ素に対しては、その危険性における誤った情報が多く流れています。

確かに、フッ素単体では危険な元素ですが、歯磨き粉や歯科医療で使用されるフッ素は、「フッ化物」という安全が保障されているものです。

「フッ素は危険!」というフレーズを鵜呑みにせずに、まずは歯科医療で使われているフッ素について、正しい知識を身に付けていきましょう。